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武器輸出三原則等の緩和に続けて考えるべき3つの論点(前編)

変わったのは武器輸出三原則等ではなく、その運用

  • 佐藤 丙午

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2012年1月10日(火)

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 2011年12月27日に藤村修官房長官が、『「防衛装備品等の海外移転に関する基準」についての内閣官房長官談話』(以下、藤村談話)で、「防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策」に関する検討結果を発表した。この検討は、同年2月の「防衛計画の大綱」発表以降続けてきたものだ。

 藤村談話は、防衛装備品などの海外への移転について、平和協力と国際共同開発の2つにつき、移転に関する新基準を示した。平和協力――「平和貢献・国際協力に伴う案件」――については「防衛装備品等の海外への移転を可能」とした。ただし、相手国政府との取り決め枠組みにおいて、事前同意のない「目的外使用」と「第三国移転」の禁止を求めることを打ち出している。

 一方、国際共同開発――我が国の安全保障に資する防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件――については、「我が国との間で安全保障面での協力関係がありその国との共同開発・生産が我が国の安全保障に資する場合に実施する」とした。この案件でも、目的外使用や第三国移転には日本政府の事前同意を必要している。事前同意は、「当該移転が我が国の安全保障に資する場合や国際の平和及び安定に資する場合又は国際共同開発・生産における我が国の貢献が相対的に小さい場合であって、かつ、当該第三国が更なる移転を防ぐための十分な制度を有している場合」としている。

民主党政権が武器輸出三原則等を見直した

 藤村談話は、「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(以下、新安防懇)の結論、そして「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」(以下、23大綱)を受けて、武器移転に関わる政策の見直しを実施したものである。留意すべき点は、これは武器輸出三原則等自体を放棄するものではないことである。

 新安防懇は鳩山由紀夫政権が編成した懇談会で、2010年8月に最終報告書を発表した。この最終報告書は、「安全保障環境と国際関係改善のための手段として防衛装備協力の活用等が有効であるとの理念」に基づき、従来の三原則等ではない、「新たな原則を打ち立てた上で防衛装備協力、防衛援助を進めるべき」とした。さらに、「国際情勢を無視して日本だけが武器輸出を禁じることが世界平和に貢献するという考えは一面的」として、安全保障政策と防衛産業政策の面から、防衛装備品の国際共同開発及び生産を推進する必要を強調している。

 23大綱は、民主党政権として初の防衛大綱で、菅直人内閣が発表した(関連記事)。23大綱は、「真に国内に保持すべき重要なものを特定し、その分野の維持・育成に注力して、選択と集中の実現により安定的かつ中長期的な防衛力の維持整備を行うため、防衛生産・技術基盤に関する戦略を策定する」としている。さらに、「防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策の検討」が必要として、「平和への貢献や国際的な協力において、自衛隊が携行する重機等の装備品の活用や被災国等への装備品の供与」が有効と結論づけた。また、「国際共同開発・生産に参加することで、装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応することが先進諸国で主流になっている。このような大きな変化に対応するための方策」の検討が必要とした。

 藤村談話は、基本的に新安防懇の結論と23大綱の内容の延長上に位置づけられる。ただし、藤村談話は、「武器輸出三原則等については、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、上記(先に挙げた(1)と(2)、著者注)以外の輸出については、引き続きこれに基づき慎重に対処する」とし、武器輸出三原則等に変化がないことを強調している。

武器輸出三原則等に変化はない、運用の新基準を示しただけ

 日本の武器輸出政策は、武器輸出三原則等によって、事実上武器禁輸政策を採用しているとされる。しかし、武器輸出三原則等は「武器輸出三原則」と「等」の2つの政策の結合であり、それぞれの政策の内容を見ると、必ずしも武器禁輸を規定しているわけではない。藤村談話もこれまでの日本政府の政策を基本的に踏襲したものであり、日本の武器禁輸政策が劇的に変化したものではない

 1967年に佐藤栄作内閣が表明した「武器輸出三原則」は、(1)共産圏諸国、(2)国連決議による武器禁輸国、(3)国際紛争当事国又はそのおそれのある国、への武器禁輸を内容とした。1976年に三木武夫内閣は、政府統一見解で、上記(1)~(3)へは武器禁輸とし、それ以外の国への武器輸出も、「憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする」としている。この統一見解が「等」であり、三原則と等を合わせて、日本の武器輸出を事実上制約してきた。

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