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「番長」は悪い人?いい人?

フィクションとメディアが生んだリーダー像

2012年1月24日(火)

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 女子サッカークラブのINAC(アイナック)神戸レオネッサに所属する川澄奈穂美選手のことを、スポーツ紙などのメディアは一時期、「おしゃれ番長」という愛称で呼んでいました。なでしこジャパン(サッカー女子日本代表)絡みの報道の中で、彼女のファッション志向(趣味がネイルアートであることなど)が知られるようになったためです。

 もっとも当の本人は愛称に少々困惑している様子。スポーツ紙の取材でも「(川澄ちゃんという愛称は)あんまりいい気はしないですよね。沢(穂希)さんみたいに普通に呼んでいただければ。川澄でお願いします。おしゃれ番長も…。あんまりおしゃれでもないですし」と語っていました(スポーツニッポン2011年10月4日)。

 ところでこの「番長」という言葉。本来は、不良少年グループのリーダーという「悪い意味」であるにもかかわらず、最近は「良い意味」で登場することが増えました。冒頭で紹介したおしゃれ番長のほかにも、美容の知識や実践に優れる美容番長、トークが得意なトーク番長など、番長を良い意味でとらえた複合語が増えているのです。

 さて番長は、どのような経緯を経て、悪い人のイメージから良い人のイメージに変わったのでしょうか。今回の「社会を映し出すコトバたち」は「番長」について取り上げます。

平安時代に「良い人」として登場

 まず番長の語源を紹介しましょう。番長は平安時代の昔から存在する、非常に古い言葉です。

 例えば833年に著された令義解(りょうのぎげ:法律の公式解説書)には、兵衛府(ひょうえふ)と呼ばれる警備組織(天皇・内裏諸門の警備を担当)の役職について記述が残っています。この記述によると、番長は組織内で最下位から1つ上の職位でした。

 具体的には「左兵衛府と右兵衛府に4人ずつの番長(ばんちょう、または、つがいのおさ)を置く」という趣旨の記述が残っています。そして、それぞれの番長は400人の兵衛(警備員)を従えていました。番長は、警備員のリーダーだったのです。

 このほか平安時代には大舎人寮(おおとりねのつかさ)、中衛府(ちゅうえふ)、近衛府(このえふ)といった組織にも、番長という役職が存在しました。そしていずれも現場職員のリーダーだったといいます。

 まとめると平安時代の番長は、国家組織における「現場のリーダー」でした。不良グループのリーダーのような悪いニュアンスは(史料から推測する限り)存在しません。

戦後に「悪い人」として再登場

 「不良少年グループのリーダー」としての番長が登場したのは昭和時代に入ってからのこと。もっと言えば、戦後(1950年代中期)になってからのことでした(時期の詳細については後述します)。

 そして1960年代には番長が社会問題になります。例えば「新語・流行語大全」(自由国民社・2005年)は、1963年の流行語の1つとして番長を挙げています。以下に説明文を引用します。「非行少年グループのリーダー。中学や高校にかなりの組織をもち、自分たちは街の暴力団やヤクザとつながりをもち、ゆすり、たかり、婦女暴行など大人並みの悪いことをやり、社会問題としてクローズアップされた(後略)」。

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「「番長」は悪い人?いい人?」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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