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「コンパ」と「合コン」で探る若者交流史

寮生の親睦から、婚活ビジネスまで

2012年1月31日(火)

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 バブル期に青春時代を過ごした筆者にとって、合コンはバブルを象徴する言葉の1つです。さらに言うと「現在も現役ではあるけれども、少々レトロ感が漂っているイベント」という認識も持っています。

 ところが最近、新聞記事などを通じて「最新トレンドとしての合コン」を目にする機会が増えました。街全体を合コン会場に見立てる「街コン」などのイベント(詳細は後述)が流行しているからです。

 さて合コンは、どのような歴史を経て成立した習慣なのでしょうか。今回の「社会を映し出すコトバたち」は、合コンと、そのルーツであるコンパについて、その歴史をたどります。

旧制高校の寮文化が生んだコンパ

 「『オイ、コンパをやらんか』突然声は其処(そこ)から起つた。『ウンよからう』と、直ぐ(すぐ)コツチから一人が賛成する、勿論(もちろん)他の二人も、異存のあらう筈(はず)がない。議案は忽ち(たちまち)通過する、金が集まる、好みを申出る事は早い、拳に負けた一人は外套(がいとう:コート)引かがつて出て行った。(略)其処に、使のものは鼻の頭を赤くして帰つてくる。風呂敷は広げられる、鹿の子(かのこ)が出る、大福が出る、金鍔(きんつば)がでる、白湯(さゆ)を啜り乍ら(すすりながら)思ひ--に手を出す。話は一段と進む」

 以上は明治時代の文芸雑誌「冒険世界」(戦後発行の少年雑誌「冒険世界」とは別の媒体)の1911年4月15日増刊号が掲載した記事「札幌農科大学 寄宿生活の面白味」からの引用です(注:米川明彦著「若者語を科学する」より孫引き)。コンパが誕生して間もない時期に書かれた文章の1つです。

 コンパは明治時代の学生言葉として誕生しました。発信源は旧制高等学校(以下、旧制高校)の寮生たちです。

 旧制高校とは帝国大学の予備教育を行う学校のこと。現在の感覚で言うと、高校というより大学の教養課程に近い存在でした。例えば一高(第一高等学校)は現在の東大教養学部などの前身に当たります。一高などのナンバースクール(1から8までの番号名を持つ旧制高校)は当時のエリート校でした。バンカラと総称する気風(粗野で、野蛮な態度)やファッション(白線帽やマントや高下駄などの身なり)も有名です。

 旧制高校の大きな特徴の1つに全寮制があります。そして寮生活からは様々な隠語が誕生しました。例えば一高では、ずっと布団を敷きっぱなしにする「万年床」、集団で特定の部屋を急襲するイタズラである「ストーム」などの言葉が登場しています。これらの隠語が、ほかのナンバースクールとの交流(弁論大会など)を通じて全国に広まっていきました。

 コンパもまた一高の寮生が使い始めた言葉の1つです。語源になったのは英語のcompany(カンパニー)。この言葉には「会社」という意味のほかに「社交」や「仲間」などの意味も存在します。当時の寮生は「社交」という意味のカンパニー(当時の表記はコンパニー)を引用して「コンパる」「コンパ」などの言葉をつくり上げたわけです。

 コンパが寮発信の言葉であることを示す証拠に、様々な複合語が存在していることが挙げられます。同室のメンバーだけで親睦を深める「同室コンパ」、向かいの部屋のメンバーと一緒に開催する「対室コンパ」、斜め向かいの部屋を対象にする「対角線コンパ」、すべての寮生が参加する「全寮コンパ」などの言葉が存在するのです。このうち全寮コンパは、現在もその伝統を残している学生寮が存在します。

 ともあれコンパ文化は、明治時代に「寮生同士で金を出し合い、菓子を食べながら語り合う会」として登場しました。

現代の大学も継承するコンパ文化

 コンパという言葉には、一度、時代遅れになった時期があったようです。例えば昭和の初期に発行された雑誌「新青年」(1932年4月号)の「青年事典」には「(コンパは)今ではそう使はない、古い言葉である」という記述も登場します(注:「若者語を科学する」より孫引き)

 とはいえ現代に目を向けると、大学文化の中にコンパの習慣がしっかりと残っています。大学に通った経験をお持ちの人ならば、おそらく「卒業コンパ」「追い出しコンパ」「突入コンパ」「打ち上げコンパ」などの言葉をご存じだと思います。これらの言葉がどのように継承されたのか、その経緯は不明であるものの、コンパは現代の大学にもすっかり定着しています。

 明治の旧制高校や現代の大学(新制大学)がコンパを必要とした理由は、おそらく親睦に対するニーズが高かったからでしょう。旧制高校も新制大学も、多様な地域から学生を受け入れていた(いる)からです。

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「「コンパ」と「合コン」で探る若者交流史」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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