「ニュースを斬る」

ソニーの平井体制、「発足10カ月」の勝算

週1ミーティングは痛み伴う改革の下準備

  • 吉野 次郎,広岡 延隆

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2012年2月4日(土)

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 ソニーの平井一夫副社長が今年4月1日付けで社長に就任する。10カ月前の昨年4月1日に、代表権を持つ副社長に昇格し、次期社長の最有力候補に踊り出た時から平井体制は始まっていた。

新社長への就任が決まった平井一夫副社長(写真:室川イサオ)

 副社長に任命されるやいなや、各部門の責任者を毎週1回、東京品川の本社の1室に集めて、夜遅くまでミーティングを開くことを恒例とした。メンバーはテレビやビデオ、オーディオ部門の今村昌志・事業本部長、デジタルカメラ部門の高木一郎・事業本部長、パソコン部門の鈴木国正・事業本部長、マーケティング担当役員の鹿野清・上級副社長、ソニー・コンピュータエンタテインメントのアンドリュー・ハウス社長、そしてビデオ会議で参加する米ソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルのティム・シャーフ社長らだ。終了時間は決まっていない。

 「今度の新型タブレット端末はスマートフォンと操作性を統一すべきではないか」「音楽再生の仕方が違うのはいかがなものか」

 そんな議論が延々と繰り広げられる。議論が出尽くした頃、誰からともなく「さあ飲みに行こうか」との声が上がり、酒を酌み交わしながら延長線が始まる。

 縦割り組織の壁を取り払うとともに、平井氏が幅広い製品の開発状況に目を行き届かせるのが狙いだ。

創業当時への回帰

 今年6月の株主総会後に取締役会議長に退くハワード・ストリンガー会長兼社長CEO(最高経営責任者)が平井氏に残した宿題は余りに大きい。テレビ事業は2012年3月期まで8期連続の赤字が確実で、連結最終損益は2200億円の赤字に沈む見込みだ。

 ストリンガー氏はデジカメ、パソコン、テレビなど、製品ごとにバラバラに開発を進める部門を「サイロ」と評した。「ソニーユナイテッド」を標榜し、この縦割り組織の壁を取り払おうとしたが、目に見える形での成果はあげられなかった。

 跡を継ぐ平井氏は、「ソニーの世界観を統一する」と言う。各種製品の操作性やデザインなどを統一し、ソニー製品で消費者を囲い込むことで、業績回復を目指す。1週間に1度のミーティングはそのための意思統一の場となる。

 また、商品開発の状況を把握することで、大きくなりすぎた組織の弊害を取り除きたい考えだ。

 ソニーの規模が今よりずっと小さかった頃、井深大氏、盛田昭夫氏ら創業当時からの経営メンバーは、自ら頻繁に開発現場に足を運んでいた。どのような製品が開発されているのかを自分の目で確かめ、「行ける」と思えば、たとえリスクが大きくても商品化に大胆にゴーサインを出した。こうしてトランジスタラジオや「ウォークマン」「トリニトロン」など時代の1歩先を行く商品を次々と世に送り出した。

 だが、組織が大きくなるにつれ、トップが製品開発の全体像を把握するのが難しくなり、革新的な商品もなかなか生み出されなくなった。

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