悪名高きマラッカ海峡を通らずして、東南アジアからインド、中東への物流網が通る――。民主化で経済制裁の解除が進むミャンマーが、世界から注目されている。中国や米国も触手を伸ばすこの「未来の要衝」で、日本が出遅れることは許されない。
世界がミャンマーに熱い視線を送っている。
およそ6000万人の人口は低賃金で、今後も増加が見込める。銅やニッケル、天然ガスといった豊富な鉱物資源もある。それらを後ろ盾とした経済成長が期待できるだけに、混迷が続く世界経済の中で、注目が集まる。
国家レベルで民主化へ向けた改革が進展し、欧州連合(EU)や米国は、軍事政権時代から科している経済制裁の一部解除を始めている。各国政府の要人が昨年来、相次ぎミャンマーを訪れて秋波を送っており、日本からも今年1月中旬に枝野幸男・経済産業相が訪問した。
経済成長だけでない潜在力
だが、ミャンマーへの関心が高まっているのは、経済成長を自国経済に取り込みたいという動機だけではない。
アジア全体を俯瞰して見ると、地政学上の要衝であることが分かる。世界が再評価する中で、同国の新たな側面が浮かび上がっている。
その象徴となるのが、ミャンマー南部に位置する港町、ダウェイである。同国の港湾としては、ヤンゴン近隣のヤンゴン港およびティラワ港が有力で、現在のダウェイは中堅港の域を出ていない。しかし、地理的条件から見た潜在力は極めて高い。
ダウェイ港は国境を挟んで、タイの首都バンコクから陸路で西にわずか300kmの距離にある。同時にその西側にはアンダマン海、ベンガル湾そしてインド洋が広がり、海を挟んでインドと向かい合う形になる。
日本企業を中心に、製造業が集積するタイからの貨物船は、これまでバンコク近郊のレムチャバン港を出発し、南下してマラッカ海峡を経由。その後にインドや中東など西方に物資を輸送していた。しかし、バンコク〜ダウェイ間で陸路を使い、ダウェイ港から貨物船を出すことで、マラッカ海峡を経由しない物流ルートが生まれる。
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