「時事深層」

国内LSIの「失われた10年」

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2012年2月20日(月)

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システムLSI(大規模集積回路)大手3社が、事業統合交渉に乗り出した。構想そのものは10年も前から描かれていたものだ。各社の決断の遅れが、今日の危機を招いた側面がある。

 「何であの時に決断できなかったのか」――。

 ルネサスエレクトロニクスと富士通、パナソニックの3社が家電などの制御に使うシステムLSI(大規模集積回路)事業の統合を検討し始めたと主要メディアが一斉に報じた2月8日。このニュースを複雑な思いで眺めていた人物がいる。日立製作所出身の半導体技術者で、現在は米半導体大手サンディスク日本法人の社長を務める小池淳義氏だ。

幻の「共同ファブ構想」

 日立と台湾メーカーが設立した半導体製造の合弁会社、トレセンティテクノロジーズ(現ルネサス)に在籍していた2000〜05年にかけ、小池氏は国内LSIメーカー同士で最先端の工場を共同利用する「共同ファブ構想」を推進して注目を集めた。当時、最先端だった直径300mmのシリコンウエハーに対応するには1000億円単位の投資が必要で、単独での設備投資は各社ともあまりに負担が大きかったためだ。

 小池氏は競合他社からも出資を受け入れることでトレセンティを独立させようと働きかけたが、「親会社にそこまでの覚悟がなかった」(小池氏)。その後、半導体市況が回復するとシステムLSI各社はそれぞれ300mmウエハーへの投資に突き進み、共同ファブ構想は下火になっていった。

 それから約10年が経過し、欧州財政危機を引き金に半導体市況が再び悪化。国内メーカーは、かつて自前にこだわって設備投資した最先端工場の稼働率が低迷し、新たな再編の必要性に迫られることになった。

 報道によると、ルネサスと富士通、パナソニックはシステムLSI事業を切り出したうえで「設計・開発」と「生産」の機能別新会社を設立し、それぞれ官民ファンドの産業革新機構から出資を仰ぐ方針とされる。

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