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脱「官製市場」へハンドル切るEV

2012年2月28日(火)

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EV(電気自動車)に対する購入補助金の意義が問われている。原子力発電所からの電力でEVを充電するという前提が崩れてしまったからだ。一方、政府支援がなくても市場が成り立つよう、電池メーカーなどが動き始めている

 「原子力発電所がすべて止まったらEV(電気自動車)はどうなるんだ」。2月14日、自民党の環境・地球温暖化対策調査会。元環境大臣の鴨下一郎議員からの質問に、同席していた経済産業省と環境省の幹部は言葉を詰まらせた。

 質問の意図は、4月末にも原発が全基停止するとEVのCO2(二酸化炭素)排出量が実質的に増え、購入者に補助金を出す理由が成り立たなくなるというものだ。両省の幹部は「持ち帰らせていただきます」と答えるのが精いっぱいだった。

 EVのCO2排出量は充電に使う電力が、どういった方法で発電されたかによって変動する。CO2を出さない原発や再生可能エネルギーによる電力で充電すれば、EVのCO2排出量もゼロになる。一方、火力発電による電力であれば、CO2排出量は当然大きくなる。

 石油連盟の試算では、日産自動車のEV「リーフ」のCO2排出量は100km走行当たり5.1kgだったが、原発がすべて止まれば7.57kgに跳ね上がる。トヨタ自動車のHV(ハイブリッド車)「プリウス」の7.63kgと大差ない。

電池コスト「4分の1」が視野に

 EVは環境に優しいとの理由で多額の補助金を受けてきた。HVも対象のエコカー減税や、4月に復活するエコカー補助金に加え、リーフには最大78万円が上乗せされる。CO2排出量がプリウスと変わらないという話になれば、補助金の理由にほころびが出る。

 ただ、EVは既に「官製市場」の枠にとどまらず、自立し始めている。背景にあるのは激しさを増す国際的な価格競争と、それに対応しようとするメーカーの自助努力だ。

 滋賀県栗東市。ジーエス・ユアサコーポレーションと三菱商事、三菱自動車の共同出資会社、リチウムエナジージャパン(LEJ)の車載用リチウムイオン電池の新工場が2月末にも量産を始める。真新しい製造ラインには、自動車メーカーの実証試験向けに提供する試作品が並ぶ。原材料や部品の補充などを除く大半の作業が自動化され、ラインの速度は同社初の工場となる草津工場(2009年稼働)の6倍に達する。

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「脱「官製市場」へハンドル切るEV」の著者

張 勇祥

張 勇祥(ちょう・ゆうしょう)

日経ビジネス記者

2012年から日経ビジネスの記者。転々と部署を異動してきた器用貧乏。それでも、何とか中国経済はモノにしたいと願う中年記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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