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EV(電気自動車)に対する購入補助金の意義が問われている。原子力発電所からの電力でEVを充電するという前提が崩れてしまったからだ。一方、政府支援がなくても市場が成り立つよう、電池メーカーなどが動き始めている

 「原子力発電所がすべて止まったらEV(電気自動車)はどうなるんだ」。2月14日、自民党の環境・地球温暖化対策調査会。元環境大臣の鴨下一郎議員からの質問に、同席していた経済産業省と環境省の幹部は言葉を詰まらせた。

 質問の意図は、4月末にも原発が全基停止するとEVのCO2(二酸化炭素)排出量が実質的に増え、購入者に補助金を出す理由が成り立たなくなるというものだ。両省の幹部は「持ち帰らせていただきます」と答えるのが精いっぱいだった。

 EVのCO2排出量は充電に使う電力が、どういった方法で発電されたかによって変動する。CO2を出さない原発や再生可能エネルギーによる電力で充電すれば、EVのCO2排出量もゼロになる。一方、火力発電による電力であれば、CO2排出量は当然大きくなる。

 石油連盟の試算では、日産自動車のEV「リーフ」のCO2排出量は100km走行当たり5.1kgだったが、原発がすべて止まれば7.57kgに跳ね上がる。トヨタ自動車のHV(ハイブリッド車)「プリウス」の7.63kgと大差ない。

電池コスト「4分の1」が視野に

 EVは環境に優しいとの理由で多額の補助金を受けてきた。HVも対象のエコカー減税や、4月に復活するエコカー補助金に加え、リーフには最大78万円が上乗せされる。CO2排出量がプリウスと変わらないという話になれば、補助金の理由にほころびが出る。

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 ただ、EVは既に「官製市場」の枠にとどまらず、自立し始めている。背景にあるのは激しさを増す国際的な価格競争と、それに対応しようとするメーカーの自助努力だ。

 滋賀県栗東市。ジーエス・ユアサコーポレーションと三菱商事、三菱自動車の共同出資会社、リチウムエナジージャパン(LEJ)の車載用リチウムイオン電池の新工場が2月末にも量産を始める。真新しい製造ラインには、自動車メーカーの実証試験向けに提供する試作品が並ぶ。原材料や部品の補充などを除く大半の作業が自動化され、ラインの速度は同社初の工場となる草津工場(2009年稼働)の6倍に達する。

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