「ニュースを斬る」

パナソニック新社長に「冷徹な切れ者」55歳

リストラとグループ融合の難題に挑む

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2012年2月29日(水)

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 パナソニックは28日、6月27日付で大坪文雄社長(66)が退任し、津賀一宏専務(55)が社長に昇格する人事を発表した。大坪社長は会長に就任し、中村邦夫会長(72)は代表権を持たない相談役に退く。パナソニックは2月3日に2012年3月期の連結最終損益が7800億円の赤字に膨らむと発表したばかり。赤字の主因となった薄型テレビ事業の建て直しやリストラは急務だ。松下電器産業時代を通じて、創業家出身以外では最年少となる津賀氏に再建を託すことになる。

 27日午後4時、社長交代の記者会見案内がマスコミ各社に伝わった。だが驚いたのはむしろ当のパナソニック社員のほう。2月3日の決算記者会見では、巨額の赤字に対する経営責任を問われた大坪社長は、顔を紅潮させ、「グループ一丸となって乗り切る」と語気を荒げたからだ。

 広報担当社員は「今辞めたら敵前逃亡になる、という大坪さんの決意の表れだと思っていた」と振り返る。昨年末から今年にかけては大手全国紙が「大坪続投」の予測記事を掲載しており、続投は暗黙の了解の雰囲気でもあったのだ。

 だが、ある電機アナリストはこう指摘する。「前任の中村邦夫会長が6年間の社長在任期間で最終赤字に転落したのが2期のみ。それも90年代末の経営悪化をV字回復させるためだった。大坪社長は巨額の薄型テレビ投資が裏目に出て最終赤字は3期に及んだ」。前例主義を大事にするパナソニックでは、大坪社長を続投させるシナリオはすでに消えていたのだろう。

 では津賀新社長はどんな舵取りをするのか。

ボードメンバーは全員年上

 1977年、創業者である松下幸之助氏が、当時社長だった娘婿の松下正治氏を会長に棚上げし、末席の取締役だった山下俊彦氏を社長に指名。世間は「山下跳び」ともてはやしたが、このとき山下氏は59歳。津賀氏はこれより4歳若い。同じく6月に就任するソニーの平井一夫社長が51歳、シャープの片山幹雄社長が49歳で就任したのを考えれば電機業界のトップ若返りは当然とも言えるが、前述のように旧例主義の根強いパナソニックにとってはやはり大胆な決断だっただろう。

 津賀氏は79年に大阪大学基礎工学部を卒業し旧松下電器産業に入社。研究畑のエリートでデジタルテレビの立ち上がり期にネットワークとソフトウエアの開発に携わった。完成品で表舞台に立つ役柄ではなかったが、社内外では「冷徹な切れ者」との評が多い。

 その手腕を発揮したのが「次世代DVD規格統一騒動」だ。2005年、パナソニックやソニー、フィリップスが提唱する「ブルーレイ・ディスク」と東芝が主導する「HD−DVD」の規格が対立し電機業界の一大トピックになった。その後、両陣営は歩み寄りを見せたが、記録方式で最後まで折り合わなかった。東芝側の要求を原則論で拒否し続けたのが交渉担当者だった津賀氏だ。08年、東芝はHD−DVDからの全面撤退を発表する。

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