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サムスン、有機ELで賭け

2012年3月8日(木)

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韓国サムスン電子が4月1日に液晶パネル部門を分社化する。赤字の液晶から次世代の有機ELテレビへ事業転換を急ぐ。普及に向け、低コスト化の壁が立ちはだかるが、賭けに出た。

 テレビ最大手の韓国サムスン電子が、次世代の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビの普及に向けて渾身の一手を打った。液晶パネル部門を分社化し、4月1日に設立する全額出資の新会社「サムスンディスプレー(仮称)」がそうだ。

 サムスン電子の液晶パネル事業は2011年10~12月期に2200億ウォン(約157億円)の営業赤字に沈むなど、同期まで4四半期連続で赤字。液晶パネルの製造設備を次世代の有機ELテレビ用に転用するなどして、収益改善を急ぐ。スマートフォンやタブレット端末向け中小型液晶パネルや有機ELパネルを生産する「サムスンモバイルディスプレー」と、新会社を合併させることも検討中だ。

 サムスン電子は、サムスンディスプレーから有機ELパネルを調達し、今年中に55型の有機ELテレビを発売する。さらに今年1月にソニーと折半出資を改め、100%子会社化した液晶テレビ用のパネル合弁会社「S-LCD」との統合も視野に入れる。

 サムスンディスプレーを軸にテレビ最大手の地位を揺るぎないものにする。ただし、サムスン電子の思惑通りになるとは限らない。

液晶との値差1.2倍が普及条件

 分社化により独立採算制を明確化すれば、当初は採算が厳しいテレビ向け有機ELパネル事業を、別の黒字事業で戦略的に補塡することが難しくなる。製造ラインの稼働初期は歩留まりが低く、パネル1枚当たりの製造コストが高い。サムスンディスプレーは有機ELテレビ用パネルの歩留まりを改善しつつ、自力で生産効率を高める必要がある。

 液晶テレビ向けのパネルでは、S-LCDで歩留まりを改善させてから、サムスン電子が単独で新工場を立ち上げ、効率よく液晶パネルを生産していた。歩留まりの低い初期段階の投資は、ソニーと負担を折半できていたわけだ。

 これに対して、有機ELテレビ用のパネル生産ではサムスンディスプレーがすべてを負う。ソニーから資金援助を受けた液晶テレビの時よりも、大きな負担を覚悟せねばならない。

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「サムスン、有機ELで賭け」の著者

吉野 次郎

吉野 次郎(よしの・じろう)

日本経済新聞社記者

1996年、日経BPに入社。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年4月から日本経済新聞社電子編集部に出向中。産業、経済事件を中心に取材・執筆する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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