「時事深層」

マツダに最後の「慈雨」

  • 加藤 修平

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2012年3月9日(金)

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マツダが最大2328億円の資金調達に踏み切る。3年前に続く巨額の資本増強は、財務面での苦境を映す。円高でも利益の出る体質作りに向け、今回が最後の慈雨だ。

 マツダが最大で2328億円の資金調達をすることを決めた。公募増資に第三者割当増資、主取引銀行を引受先とする700億円の劣後ローンと、あらゆる手段で自己資本を充実させる。

 発行済み株式の1株当たりの価値が大きく下がる公募増資は、既存株主にとっては厳しい経営施策だ。しかもマツダは2009年に公募増資などで総額739億円を調達したばかり。経営陣にはもちろん説明責任があるが、今回の増資を巡ってはこの部分でも市場関係者の不評を買った。

 「キャッシュそのものに困っているわけではない」「2013年3月期には黒字化し、成長するプランで経営を立て直す」

 マツダが2月2日に開いた2011年4〜12月期決算発表会。同社の山内孝社長は増資の必要性についての質問にこう答えていた。そのわずか20日後に1株当たりの価値が4割も下がる巨額の増資を発表したわけだ。ある証券アナリストが「山内社長があんなことを言わなければよかったのに。本当に腹立たしい」と憤るのも無理はない。

 しかし、本当に困っている時に「困っている」と答える企業もあまりないだろう。発言の評価はともかくとして、マツダが財務面で追い込まれた状態にあるのは確かだ。

 マツダは国内生産の8割以上が輸出に回り、円高に収益を圧迫されている。2012年3月期に予想する400億円の営業損失には東日本大震災とタイの洪水による影響が260億円含まれているものの、逆に言えばそれがなくても赤字。今期に連結営業赤字を予想する完成車メーカーはマツダだけだ。

 マツダは調達する資金を国内における生産・開発拠点の強化と、東南アジアやロシア、メキシコでの車両生産設備の新設・増設に使うと説明している。新興国での生産展開はトヨタ自動車や日産自動車などと比べると周回遅れの状況にあるのは否めないが、成長を目指すという意思は読み取れる。

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