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「話し合い解散」とは何か

  • 清水 真人

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2012年3月12日(月)

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野田首相と谷垣自民党総裁の極秘会談をきっかけに、「話し合い解散」論の風速が増す。勢いづく橋下大阪市長を「共通の敵」と見る危機感が、2大政党の党首を突き動かした。重要法案成立と引き換えに野党の要求通り解散するなら異例。「瞬間大連立」とも言える。

 「首相として不退転の決意と申し上げたので、強い覚悟、重たい決意だ。国家・国民のためにやり遂げなければいけない時には、様々な判断がある」

 首相の野田佳彦は4日の民放テレビ番組で、政権の命運を懸けた消費税増税を成し遂げるための今国会での衆院解散・総選挙に含みを持たせた。

 永田町で語られる「話し合い解散」とは何か。消費税増税法案の成立に自民党が協力する。それと引き換えに、野田は自民党が要求する早期の解散・総選挙を受け入れる――こんなイメージに集約できる。

 戦後政治史で「話し合い解散」の名が残る衆院解散・総選挙は1度だけある。1958年に首相の岸信介(自民党総裁)が社会党委員長の鈴木茂三郎と党首会談で合意し、内閣不信任決議案の提出を受けて解散した。今回とは政治状況が違いすぎて前例にならない。

 岸は原彬久編『岸信介証言録』で「野党と意見が衝突するとか、解散しなければならない重大問題にぶつかったというわけではない」と振り返っている。前の選挙から3年、内閣発足から1年余が経ち、自前の予算も成立させた直後で「そろそろ国民に信を問わなければならない」と解散した。話し合いは儀式で、政権の都合が優先した。

野党と「解散権分有」の異例

 憲法が内閣に認める解散権は首相の専権事項と受け止められ、不信任決議の可決時に限らず、必要と思えば行使できるとの解釈が通説だ。首相にとって妙味は政権維持に最も都合のよい時期を選んで衆院選に打って出られること。自らの求心力に自信があれば、重要法案を成立させるため「否決すれば有権者に信を問う」と解散権で反対勢力を牽制する。現実に参院で否決に至り、生き残りを懸けて解散を断行したのが2005年の小泉純一郎の「郵政解散」だ。

 これらの解散権の論理と今回の「話し合い解散」論は全く違う。2大政党間で政権交代があり得る時代に、あえて野党が望んでいる時期の衆院選に応じることになり、虎の子の「首相の権力」を放棄するのに近い。重要法案の成立と取引する要素を加味しても、解散権を野党と分かち合う異例の決断になる。

 底流には与野党がすくみ合い、重要法案を通せない衆参ねじれ国会の行き詰まりを何とか打破しようとするもがきがある。解散権の放棄という視点と併せて見れば、「話し合い解散」の本質は「瞬間的な大連立」とも言える。

 東日本大震災以降、民主、自民両党による大連立工作が浮き沈みしてきた。自民党副総裁の大島理森と民主党の仙谷由人が「自民党総裁の谷垣禎一に首班を譲り渡す」を条件に気脈を通じる局面もあったが、民主党政権は「谷垣首相なら6カ月以内に解散してしまう」(前首相の菅直人)と腰を引いた。

 首班をどちらから出すかは解散権をどちらが握るかに直結する。大連立が実らずにきた理由の核心はここだ。

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