日系LCC3社が次々とスタートする2012年。既存の航空会社は揺れ、スカイマーク株は半値に下落した。正面から競合する日韓線は、「敗者」を決める消耗戦になる。
日本初のLCC(格安航空会社)、ピーチ・アビエーションが3月1日に就航した。関西国際空港をベースに、札幌(新千歳空港)、福岡路線を開設。今後は関空~長崎、関空~鹿児島線を飛ばすほか、5月には国際線への参入を予定している。関空とソウル(仁川)や香港、台北(桃園)などを結ぶ計画だ。

夏にはLCC2社(ジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパン)が新たに就航する。当面は成田空港を拠点に札幌や福岡、沖縄(那覇)を結ぶが、今後は成田~ソウル(仁川)をはじめとした国際線市場にも乗り込む。
既存の国内航空会社は、こうした新規LCCの路線戦略を注意深く見つめている。就航路線が重なれば、乗客の争奪戦が起きるのは必至だからだ。
LCC就航前から、既存の航空会社に大きな影響が出る予兆があった。
注目はスカイマークだ。1996年の設立以降、大手航空会社より大幅に安い運賃で利用客を獲得してきた。いわば「元祖LCC」。だが新たなLCC3社の報道が続くと、スカイマーク株は下落基調に転じた。昨年9月頭には1300円前後だった株価が、ピーチ・アビエーションが就航した今年3月1日には、700円台前半まで下落している。
国際線就航がターニングポイント
スカイマークは日系航空会社で唯一、LCC3社との正面対決を挑んでいる。昨年秋からは、成田や関空を拠点とした国内線のチケットを格安で販売し始めた。当初のキャンペーンでは成田~札幌を片道980円で販売。3月下旬から就航する関空~沖縄線も片道780円と破格のキャンペーンを打つ。
「それでも株価が下がり続けるのは、LCC就航による競争激化を警戒しているから。我々も他人事ではない」とある航空会社幹部は表情を曇らせる。
熾烈な競争が懸念されているのが日韓路線だ。LCC3社の拠点は成田や関空なので、羽田や伊丹を使う既存航空会社とは、国内線では競合が少ない。「多少の競合はあっても、既存の航空会社が大打撃を受ける可能性は低い」とJTB旅行事業本部・航空政策室の長尾宏明マネージャーは見る。
これで終わり?(2012/03/16)