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家電、「博打の時代」の終わり

2012年3月27日(火)

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シャープ、パナソニック、ソニー…テレビ事業不振の責任を取り相次ぎトップが交代する。「21世紀のテレビ」を引っ張ってきたのはカリスマ経営者と、強心臓の半導体技術者だ。爆発的な普及の代償に残った巨額設備投資の骸。家電メーカーは何を学ぶのか。

 すべてのテレビを液晶に──。シャープの片山幹雄社長の後見人だった町田勝彦前社長(現会長)が、この信念の下、液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」の第1号機を発売したのは2001年の元旦だった。「ブラウン管は20世紀に置いてきました」という、2001年当時のシャープのテレビCMが象徴するように、日本のテレビメーカーは一斉に薄型テレビ開発競争に邁進する。

 その後、産業史上かつてないスピードで薄型テレビが普及したのは紛れもない事実。アクオスで液晶テレビの時代を引っ張ったシャープ、そして1998年に社長に就任した町田氏が時代の立役者だったことは間違いない。

 だが、皮肉にもこの信念がほぼ実現した11年後の今、訪れたのはバラ色の未来ではなく悪夢だった。2012年3月期にシャープは過去最悪となる2900億円の最終赤字を見込む。巨額の最終赤字への業績修正を発表してから約6週間後の3月14日、片山社長は、自らは代表権のない会長に、町田会長は取締役相談役に退く人事を発表した。後任の社長には奥田隆司・常務執行役員が昇格する。

テレビ事業の変革を先導

 21世紀に入り、アセンブリー(組み立て)が主体だったテレビ生産は、薄型テレビの登場で全く別の世界に突入する。ブラウン管テレビとは異なり、液晶やプラズマテレビに使うパネルは製造工程が目に見えない。歩留まりや限界利益率の見極めに半導体などのデバイスの考え方が必要になった。

 そこで町田氏が目をつけたのが、液晶の技術者として頭角を現した現社長の片山氏だ。片山氏はシャープ入社後、大学時代の専攻を生かし太陽電池の薄膜の開発に取り組み、雌伏の時代を過ごした後、1998年にTFT液晶事業本部に移った。

 三重の多気工場で「畳プロジェクト」と呼ぶ液晶パネル大型化のプロジェクトを進行中だった片山氏が、工場を訪れた町田氏に事業化を直談判した、というのがアクオスの前史だ。

 その後、シャープのアクオスは国内の薄型テレビ市場で1位を獲得。ブラウン管テレビの時代には「1.5流」と揶揄されることもあった同社は、パナソニック、ソニーと並ぶ薄型テレビ御三家の地位を占めるまでになった。

 社長就任から9年が経った2007年4月、町田氏は自らの後任となる社長に、当時49歳の片山氏を引き上げた。会長となった自らも代表権を持ち続け、同社としては異例の二人三脚体制で、事業拡大に突き進んだ。

 カリスマ経営者がテレビ事業の方向を180度転換させ、強心臓の半導体技術者が持ち前の嗅覚で、1000億円単位の大型投資を実行する──。こうした連携プレーがテレビの薄型化という産業史の大転換を演出した。

 シャープの好敵手だったパナソニックにもこれは当てはまる。2000年に社長に就任し、松下電器産業(当時)の業績回復の立役者となった中村邦夫会長(6月に相談役に退任予定)も、旧設備を破棄してプラズマテレビに事業の柱を転換させた。投資を実行した大坪文雄社長(6月に会長就任予定)の配下には、森田研専務(6月退任予定)など、やはり半導体事業部門出身の猛者がいた。

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「家電、「博打の時代」の終わり」の著者

吉野 次郎

吉野 次郎(よしの・じろう)

日本経済新聞社記者

1996年、日経BPに入社。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年4月から日本経済新聞社電子編集部に出向中。産業、経済事件を中心に取材・執筆する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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