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ヤフー、“大企業病”回避宣言(上)

「現場を解放する」、新CEOの危機感

2012年4月3日(火)

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 4月1日、日本を代表するインターネット企業、ヤフーのトップが交代する。

 創業から約16年。国内ネット黎明期に産声をあげた小さな会社は、2011年3月期に連結売上高2924億円、連結経常利益1602億円を叩き出す高収益企業に成長した。

 圧倒的な伝播力を持つポータルサイト「Yahoo! Japan」を中核に、オークション、ショッピング、動画配信など無数の事業を展開。グループ社員は5000人を超える。その発言力は、国内ネット業界に影響を与え、業界盟主としての風格を備えるようになった。

 だが、強さは弱さの裏返しでもある。

 安定した収益基盤の一方で、新たなヒットサービスが生まれない。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を始めとした新技術の対応に遅れ、後手に回る展開が目立つようになった。「スピード感の欠如」「リスク回避指向」「縦割り組織の弊害」...。そんな声が、社内からも漏れ聞こえてくる。いわゆる「大企業病」を指摘する声があるのも事実だ。

 こうした状況の中、親会社であるソフトバンクグループ総帥の孫正義社長が動いた。経営陣の刷新を図り、往年の勢いを取り戻すため、新たな経営の舵取り役に任命したのが、44歳の宮坂学氏である。現在の井上雅博社長よりも11歳若い。

 「何よりもスピードを取り戻す」と語る宮坂・次期CEO(最高経営責任者)。新たな経営陣とともに、新生ヤフーはどう変わるのか。その構想を聞いた。

(聞き手は 蛯谷 敏=日経ビジネス記者)

4月1日付けで、ヤフーのCEO(最高経営責任者)に就任します。改めて、ヤフーの強みと弱みはどこにあると考えていますか?

宮坂:強みは、やはり「Yahoo! Japan」というブランド力でしょうね。創業から約16年がたちましたが、当社の知名度は、ほぼ全国区になったと自負しています。地方に行っても、消費財とほぼ同じレベルでヤフーの名は知られています。このブランド力は、僕らにとっては大きな財産です。

 16年前は、単なる小さなベンチャー企業だったわけですから、ここまでの知名度を誇る企業に成長できたことは、本当にすごいことですよね。改めて、井上さんを始めとした先輩経営陣の功績を実感しています。インターネット企業としての総合力、サービス運営力ではどこにも負けない自信があります。

グループ社員が5000人を超える大所帯となったヤフーは、従来持っていた強さを失いかけているようにも見えます。

「スピード感の欠如」は深刻

宮坂 学(みやさか・まなぶ)
1967年11月生まれ、山口県出身。91年3月同志社大学経済学部卒。91年ユー・ピー・ユー入社、企業パンフレット、広告などの制作に従事。97年ヤフー入社。メディア事業プロデューサー、メディア事業部長などを経て、2009年4月にコンシューマ事業統括本部長に就任。4月1日でCEOに就任、6月の株主総会後に社長に就任予定。趣味はマラソン、トレイルラン、スノーボード、自転車など。ホノルルマラソン、東京マラソンへの出場経験もある(写真:村田 和聡)

宮坂:そうですね。端的に言えば、僕は「スピード感の欠如」に尽きると思っています

スピード感ですか。

宮坂:ヤフーは、パソコンが主戦場だったネット黎明期には、そのスピードで一気に国内ポータル事業で覇権を握ることができました。その後も、矢継ぎ早にニーズに合ったサービスを投入して、ある程度の地位を確立することができました。

 これからもパソコンがインターネットの窓口として主流であり続ければ、きっと現状維持でも十分に強い企業であり続けられたでしょう。けれど、ゲームのルールは、大きく変わりつつあります。

スマートフォン(高機能携帯電話)の急速な普及ですね。

宮坂:アップルのiPhoneが最初に発売されたのが2007年ですから、今年でちょうど5年です。今のスマートフォンの隆盛を見ていると、僕はWindows95を思い出します。

 Windows95の発売が95年ですから、今は2000年ごろの空気に似ています。みんながWindowsを普通に使うようになって、そこからインターネットにつながって、色々なサービスが誕生しました。それと同じようなことが、これからスマホでも起きてくる。スマホ向けの様々なサービスが生まれてくる時期に入ってきたのだと思うんですね。

 だから、パソコンの世界では横綱相撲をとれたヤフーも、今一度、成功体験を捨てて、新しい土俵に乗り込んでいかなくてはなりません。文字通り、戦いの土俵が変わったのです。

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「ヤフー、“大企業病”回避宣言(上)」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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