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米共和党有力候補、ミット・ロムニーの素顔

コミュニケーション能力は日本の政治家以下?

  • 渡辺 将人

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2012年4月11日(水)

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米大統領選挙で現職大統領のバラク・オバマと対決する可能性が高まっている共和党のミット・ロムニー。「穏健派」でモルモン教徒と言われる元経営者は、どんな人物なのか。その素顔に迫ると、意外な事実が次々と浮かび上がる。

 米大統領選の共和党候補を選出する予備選で、穏健派の前マサチューセッツ州知事、ミット・ロムニーが、3予備選すべてで勝利した。 それまでも選出レースのトップを走っていたが、穏健派の多いメリーランド州とワシントンだけでなく、保守派の存在感が高いウィスコンシン州でも勝利したことで、党内は「ロムニーで一致しよう」という空気が広まっている。
 
 11月の本選挙で現職大統領のバラク・オバマと戦うことになりそうなミット・ロムニーとは、どんな人物なのか。近著『分裂するアメリカ』の著者で、選対事務所で内部から大統領選を見た経験もある渡辺将人・北海道大学大学院准教授が人物像に迫る。(編集部)

 政治家としてのミット・ロムニーの経験は意外と少ない。2003年から2007年に1期だけマサチューセッツ州知事を務めたが、これが唯一の政治歴である。ロムニーは人生の大半を民間のコンサルタント、会社経営者として過ごしてきた。

 ロムニー本人が最大の実績として常々アピールしてきたのは、ソルトレイクシティ冬期オリンピック組織委員会の会長としての実績で、自伝『Turnaround』には汚職と非効率にまみれていたオリンピックを独自の経営手腕で立て直したことが綴られている。

 初のMBA(経営大学院修士)大統領であったジョージ・W・ブッシュと、「CEO(最高経営責任者)政治家」として比較されるが、ドミノピザ、ステイプルズなどへの投資を成功させ、高い収益率を維持したロムニーは数字に強いとされ、ビジネスの成果においてブッシュを圧倒している。

「失敗を恐れる」起業家

 ただ、ロムニーのビジネスでの成功歴は、とりわけ共和党では賞賛されてしかるべき勲章であるはずだが、美談として扱われる気配が薄いのも特徴的である。マイケル・クラニッシュとスコット・ヘルマンによる『The Real Romney』では、ベイン&カンパニーが新会社のベイン・キャピタルの経営をロムニーに持ちかけた際、失敗しても無傷で母体に戻れることを条件に渋々引き受けたという安定志向の過去が明かされている。これはロムニーが語る「1からビジネスを立ち上げるのが夢で、小さなオフィスから始めた」という起業家精神溢れる物語とは齟齬があり、企業再生の過程で大量解雇を発動したことも相まって、「アメリカンドリームの体現者」として胸を張ることを今ひとつ躊躇させるジレンマも見え隠れする。

 ところで、ロムニーに多大なる影響を与えたのは、共和党や保守の世界ではなく、「外界」すなわち民主党やリベラルの世界であったかもしれない。成功者の代名詞のような恵まれたロムニーにも、辛酸を舐めた出来事はある。ロムニーに散見されるのは、カメレオンや風見鶏のように無定見に変化する政治姿勢である。適応能力と言ってもよかろう。

 ロムニーは全米の異なる3つの地域(ミシガン、ユタ、マサチューセッツ)に基盤を持つが、所有する家や5人の子供たちは各地に散らばり、いったいどこが本拠地なのか正体が掴めない。地域横断的な基盤は、異なる地域で指導者としてのスタイルを使い分ける手法をロムニーに迫った。

封印されたフランスでの布教活動

 前半生でロムニーにとっての大きな苦難は、スタンフォード大学在学中にフランスで取り組んだ2年強のモルモン教の布教活動だった。ヴェトナム戦争当時のフランスでの反米ムードの中、カトリック教徒を改宗させる活動は困難を極め、大きな布教成果が出せないまま屈折した疎外感を味わった時期である。

 一命をとりとめた交通事故にも遭遇している。カトリック教徒といっても世俗的でワインなど飲酒を好むフランス人に囲まれ、頻繁に国際電話することも許されない宣教師たちとの同居生活はストイックなものだった。

 宣教において決まったフランス語のフレーズを暗記していたロムニーは、次第にフランス語にも習熟するようになったが、スノビズムと受け取られることを懸念して、陣営はロムニーのフランス経験とフランス語能力をあまり表面化させていない。

 ロムニーは、フランス宣教経験を経て、モルモン信仰について率直に他者に語ることに慎重になり、モルモン教徒をどの程度陣営に入れるか、選挙戦でどの程度モルモンの問題に触れるかにも、1994年の選挙以来悩まされてきた。しかし、帰国後に選んだ大学がスタンフォードへの再入学ではなく、ブリガムヤング大学だった点に、フランス経験がロムニーに与えた影響が浮き彫りになっていよう。

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