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津軽海峡に目を向けよ~ホットスポットは尖閣だけではない

中国の目は既に北に向いている

2012年4月18日(水)

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 ちょうど1年前、北京大学で、アジアの海洋安全保障問題について講演する機会を得た。聴衆には同大学の学生と北京内外の専門家に加えて、現役の中国海軍の幹部もいた。質疑応答でとりわけ興味深かったのは、津軽海峡に関する質問だった。中国海軍の幹部の1人が、「日本は津軽海峡において、なぜ領海を3海里しか宣言していないのか? なぜ、中央部分(編集注:北海道と青森県の間)に公海を残しているのか」と聞いたのである。

 日本は1977年に施行した領海法で、領海の幅を12海里と定めた。しかし、津軽海峡、対馬海峡、宗谷海峡、及び大隅海峡は「特定海峡」と定め、領海を3海里しか宣言していない。このため、中央部に公海が残っている。

 政府見解は、その理由を「国際交通の自由を保障するため」としている。だが、冷戦期に「非核三原則」が安全保障上の問題とならないようにするため公海部分を残した、というのが定説である。米ソの艦船が核兵器を搭載したままこれらの海峡を通過すれば、日本の領海に核兵器が持ち込まれたことになってしまう。

 中国海軍の現役幹部が津軽海峡に言及した時、即座に二つの事例が脳裏をよぎった。

 一つは2000年5月のこと。中国海軍の情報収集艦(砕氷艦)が対馬海峡を数回往復した後に日本海を北上。津軽海峡を2日間かけて1往復半し、太平洋に抜けるという事例があった。同艦はその後南下して大隅海峡を通過し、東シナ海に戻った。主に潜水艦作戦を想定して、対馬海峡と津軽海峡、大隅海峡の海底の地形を調査していたと考えられている。

 2008年10月には、4隻の中国艦船が津軽海峡を通過して日本海から太平洋に抜けている。同海峡を通過したのはソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦1隻と新鋭の江凱(こうがい)級ミサイル・フリゲート2隻、そして補給艦1隻。中国海軍の戦闘艦が同海峡を通過したのはこの時が初めてであった。これらの艦船はその後、太平洋を日本列島沿いに南下し、沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡を通過して東シナ海に戻った。

 国内では、中国海軍によるこれらの津軽海峡通過を示威行為ととらえ、中国政府に抗議すべきだとの論調が起こった。だが、いずれの場合も中国艦船は公海部分を通航しただけであり、国際法に抵触したわけではなかった。

日本の南西シフトは正しい選択か?

 一方、日本の専門家の多くは、中国艦船が津軽海峡を通過したことの意味について深く考えることがなかった。しかし、これらの事例は実際には、中国の海洋戦略が大きな転換点を迎えたことを意味していた。中国にとって津軽海峡は、北極海戦略においても、また核戦略においても、きわめて重要な海峡なのである。

 2010年4月に10隻の中国艦船が宮古海峡を抜けて以来、中国海軍が同海峡を抜けて太平洋に出ることが常態化しつつある。現行の防衛大綱が、南西諸島の防衛を重視するようになったのは、東シナ海や南シナ海で海洋進出を続ける中国に対処するためである(関連記事「私が考える新防衛大綱」)。

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「津軽海峡に目を向けよ~ホットスポットは尖閣だけではない」の著者

小谷 哲男

小谷 哲男(こたに・てつお)

日本国際問題研究所研究員

同志社大学法学研究科博士課程単位取得退学、岡崎研究所等を経て、2012年4月から日本国際問題研究所研究員。日米関係と海洋安全保障問題を専門とする。「海の国政政治学」の確立に向けて奮闘中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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