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「次の大災害では石油を供給できないかもしれない」

天坊昭彦・石油連盟会長に聞く

2012年4月16日(月)

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 2011年3月の東日本大震災はインフラに大きな打撃を与え、電力や都市ガスが停止した。その穴を埋めたのが石油だった。震災後、灯油ファンヒーターが一時的に売り上げを伸ばしたものの、1年が経った今、再び石油の重要性への認識は薄れつつある。石油連盟の天坊昭彦会長は「右肩下がりの需要とともに設備の削減を進めている。このままでは、災害時の供給が不可能になる」と警鐘を鳴らす。(聞き手は山根小雪)

 日経ビジネス4月9日号特集「電力維新 東電からエネルギーを奪う方法」もお読みください。

石油の安定供給に警鐘を鳴らされています。次に大きな災害が起きたときには、石油を供給できない可能性があるというのは本当ですか。

天坊:東日本大震災を経て、石油製品のサプライチェーンが想像以上に傷んでいることに気づきました。このままでは、今までのように災害時に石油製品を供給することが困難なところまで来ています。

石油連盟の天坊昭彦会長(写真:宮原 一郎)

 震災後、東北では電力とガスの供給が止まりました。送電線やガスパイプラインがダメージを受けたためです。一方、石油は分散型のエネルギーですから、災害時には大きな力を発揮します。石油業界も被害を受けましたが、業界を挙げて、灯油とガソリン、LPGガスの供給に奔走しました。

 とはいえ、石油業界も大きな打撃を受けましたから、供給体制を整えるのに2週間を要したのです。必死で対応しましたが、時間がかかりすぎました。もし、あと1週間、石油製品の供給が遅れていれば、病院で死者が出るといった社会問題が顕在化していたでしょう。

 これまで石油業界は、良くも悪くも設備過剰でした。言い換えれば、過剰な設備があったから、新潟県中越沖地震などの災害時に緊急で石油製品を供給することができました。ですが、国内の石油需要が右肩下がりで落ち込んでいる今、石油業界は生き残りをかけて設備の削減を進めています。

 1999年に2.5億キロリットルだった国内需要は、2010年には2億キロリットルまで減っています。このままいけば、2020年には1.3億キロリットルまで落ち込んでしまうと見ています。過剰な設備を保有し続けることは、死活問題なのです。

 一方で、緊急時に石油を供給するためには、1.8億キロリットルの国内需要が必要です。これ以上減ると、サプライチェーンに穴が空き、いざというときに対応できなくなります。

平時の需要なくして、災害時の対応なし

サプライチェーンを維持するには、どうしたら良いのですか。

天坊:やり方は2つあります。1つは過疎地などサプライチェーンに穴が空いたところに、国が石油を備蓄する方法。もう1つは、平時にも一定の需要を維持する方法です。国民負担の大きさを考えると、後者の方が効率が良いと考えています。

 具体的には、灯油や重油、軽油などの石油製品を平時にも使ってもらう。例えば、災害時、避難所になるような公共施設には灯油タンクを設置し、空調などに灯油を使ってもらう。大きなタンクなら、2~3週に一度ローリーを回せば済みますから、通常のビジネスの範囲で対応できます。既に都市ガスが供給されているエリアで灯油を空調に使うことは、一般の人には難しいでしょう。だからこそ、公共施設で使ってもらいたい。

 加えて、緊急車両の燃料はガソリンではなく軽油にしてもらいたい。震災時、「ガソリンをポリタンクに入れてくれ」とサービスステーションへ多くの要望が寄せられました。ですが、ガソリンは引火性が高く、通常のポリタンクには危険で入れられない。一方、軽油ならポリタンクに入れても安全です。軽油の需要を維持することも効果があります。

 電力業界には、平時から石油火力発電所を稼働率50%分くらいは動かしてもらいたい。これは、発電電力量の約15%分に当たります。電力会社からは既存の石油火力発電所は老朽化しているところも多く、発電効率が悪いことを理由に、「民間企業だからできない」という答が返ってくるでしょう。ですが、最新の設備を入れれば、効率はまだまだ向上します。

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「「次の大災害では石油を供給できないかもしれない」」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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