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彼氏と彼女のキーワード史

「彼氏」と「彼女」、どっちが先に登場した?

2012年4月24日(火)

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 今年4月1日、ポータルサイトの「goo」(NTTレゾナント)が「新サービス『gooカレ』を提供する」とアナウンスしました。ウェブ上にあるバーチャルなホストクラブで、好みの「彼氏」を選んで交流できるサービスです。

 実はこれ、gooが仕掛けたエイプリルフールのネタ。登場するキャラクターは、彼氏として「イケてない」人物設定でした。音楽家バッハがどういうわけかb-boy(ヒップホップ好きの人)風になったキャラや、2ちゃんねるでよくアスキーアートとして登場する公家(麻呂)に似たキャラなどが登場したのです(注:サイトは1日限定で公開し、すでに閉鎖)。

 それにしても最近「○カレ」「○カノ」という語形の言葉をよく見聞きするようになりました。例えば最近のゲームに「フォトカノ」という作品名があります。少女漫画にも「ハツカレ」や「メルカノ。」といった名前の作品があります。また実社会でも「元カレ」や「今カレ」などの呼び分けがすっかり定着しています。

 そこで今回の「社会を映し出すコトバたち」は、彼氏と彼女に関連するキーワードの歴史を振り返ってみます。そもそも彼氏や彼女という言葉がいつ登場し、いつから交際相手を意味するようになったのか。「○カレ」や「○カノ」といった短縮形がいつ登場したのか、などについて分析してみることにしましょう。

彼女以後に定着した「男女」の呼び分け

 では最初に、交際相手としての「彼氏」や「彼女」が登場するまでの歴史を振り返りましょう。実は「彼氏」も「彼女」も、日本語の長い歴史の中では、まだまだ新語の部類に入る言葉です。

 「彼(かれ)」は、万葉集の時代には存在していた古い言葉です。意味は二つ。「あれ」という意味と「あの人」という意味です。つまり指示代名詞と人称代名詞の二つの意味がありました。今回、分析対象にするのは、人称代名詞です。ちなみに万葉集に登場する「誰そ彼(たそかれ)」という表現は「誰?あの人は」という意味です。「誰そ彼」は黄昏(たそがれ)の語源と言われています。

 「彼」は江戸時代まで男女を問わない表現でした。例えば源氏物語に「かれは人の許し聞こえざりしに」(あの人の場合は周囲の人が許さなかったが)という一節が登場します。ここでの「かれ」とは主人公・光源氏の母親である「桐壺」のこと。つまり「かれ」が女性を指していたことになります。

 ところが明治時代に「彼女の登場」という重要な出来事が起こりました。英語などの西洋語を翻訳する時に、heやsheといった三人称代名詞を日本語で表現する必要が生じたのです。そこで当時の翻訳者たちはheの訳語として「彼」を充て、sheの訳語として「彼女(かのじょ)」という新語を使うことにしました。つまり「彼女」という表現が一般化したのは、明治以降のことだったのです(注:幕末に「かのおんな」という読みで「彼女」という表記が登場したことはある)。

 ここで明治時代までの「彼氏と彼女」の歴史をまとめましょう。まず万葉集の時代までに「彼」という表現が登場。もともとは男女を問わない人称代名詞でした。ところが明治時代に西洋文化が流入すると、女性用の三人称代名詞を翻訳する必要が生じました。そこで「彼女」という新語が現れ、男女を「彼と彼女」で呼び分ける習慣が定着したのです。

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「彼氏と彼女のキーワード史」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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