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寄付を促進する新金融商品が伸び悩む理由

2012年4月23日(月)

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 「申し訳ございません。新しい制度なので、詳細をまだ把握していないのです」

 「商品案内のパンフレットが切れていまして...」

 4月上旬。新しい金融商品「特定寄付信託」を取り扱っている信託銀行の支店をいくつか訪れ、どのような仕組みなのか説明を求めてみた。しかし、返ってきた答えは、要領を得ないものばかり。複数の受け付けの女性が、商品そのものを明らかに知らない様子だった。20分近く待っても担当者が出てこない銀行もあった。いったい、この商品はどういうものなのか。

 「特定寄付信託」は、5~10年にわたる中期的な個人の寄付を支援する商品である。大手信託銀行が3年前から政府に働きかけ、この1月に発売した。寄付はしたいけどなかなか、という顧客向けだ。ある銀行が実施した寄付に関する調査によると、日本では「財産の一部を社会に還元したいが、どこに寄付したらよいのか分からない」「手続きが煩雑」などの声が少なくなかったという。

銀行を通じて5~10年の寄付

 「特定寄付信託」の概要はこうだ。まずは寄付を望む顧客がお金を信託銀行に一括で預け入れる。預入金を原則無料で管理してくれる。現在は、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、りそな銀行の3行がこの商品を販売している。三井住友トラスト・ホールディングスも近く商品化する予定だ。

 信託銀行によって、預入金の最低額が異なる。三菱が10万円、みずほとりそなが100万円からとしている。上限金額もまちまち。上限金額を設けていない銀行もある。銀行は寄付が可能な団体をそれぞれ6~15選定。例えば震災復興関連では「中央共同募金会」、子供の支援では「日本ユニセフ協会」、環境保護では「世界自然保護基金ジャパン」がある。りそなは地域支援として「京都市文化観光資源保護財団」や「佐賀国際重粒子線がん治療財団」などを選んでいる。

 顧客は5~10年にわたって信託銀行に指示し、預入金の中から一定の額を自分が望む団体に毎年寄付することができる。寄付する団体は変更が可能だ。時々の社会情勢を踏まえ、最初は震災復興、3年目からは環境、5年目からは地域関連などと変えることができる。

特定寄付信託の3つのメリット

 寄付を検討する個人客にとって、この商品の利点は大きく3つある。

 1つは、信託銀行が無料で預入金を管理し、どこに寄付したかの報告がしっかり得られること。2つめは、預入金を銀行がリスクの低い国債や地方債などで運用すること。その運用益はわずかもしれないが非課税になる。最後は、寄付金に対する税額控除がある点。2000円を超える寄付について、所得税の40%と住民税の10%の合計額を上限に、税額控除される。顧客の年収や家族構成によって変わるが、多い場合で毎年の寄付金の半分近くが税額控除の対象になるケースが考えられる。信託銀行や税理士などに相談すれば、詳細が分かる。

受託はわずか5件

 大手信託3行が特定寄付信託を販売し始めて3カ月がたったが、50~70代の中高齢者5人が利用したにすぎない。3行のうち、受託件数がゼロの銀行もある。なぜ、利用はここまで低迷しているのだろうか。

 ある信託銀行関係者は「せっかくできた制度なのに、商品の説明や告知が店舗内で十分できていない」と語る。確かに、複数の銀行を訪れて相談窓口を見回してみたが、「特定寄付信託」の文字は見あたらなかった。代わりに目に付いたのは「投資信託」「住宅ローン」「保険」といった、銀行が収益でしのぎを削る昔ながらの商品ばかりだった。

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「寄付を促進する新金融商品が伸び悩む理由」の著者

馬場 燃

馬場 燃(ばば・もゆる)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社の経済部などを経て、2012年4月から日経ビジネス記者。電機・IT業界を担当している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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