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太陽と北風、公的債務削減にはどちらが有効?

年金給付の10%を政府に寄付する選択肢を用意

2012年5月9日(水)

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 「政治の高齢化」(Political Aging)は、孫と祖父母との間に1.2億円もの世代間格差を引き起こしている(関係コラム「サンデル教授に問いたい「搾取」の正当性」)。
 このような世代間格差を引き起こす主な要因は、賦課方式の社会保障(年金・医療・介護)システムや恒常化する財政赤字にある。前者については、社会保障改革を実行し「事前積立」(関係コラム「世代間格差は事前積立の導入で解決できる」)を導入することで対応可能だ。一方、後者については将来世代への“ツケ”先送りである財政赤字を縮減することが不可欠である。

 財政赤字を縮減する方法として、(1)増税、(2)歳出削減、あるいは(3)両方の組合せという3つがある。社会保障費が毎年1兆円以上のスピードで膨張していく現状を考えると、「歳出削減=社会保障費が中心」となる。

 だが、人口構成が高齢化し、「政治の高齢化」が進む状況において、社会保障費の削減を実行するには、非常に大きな政治的パワーが必要である。引退世代の抵抗が大きいからだ。

 これは、以下の図表でも確認できる。この図表は、厚労省(2011)「平成21年 社会保障における公的・私的サービスに関する意識等調査 報告書」でのアンケート調査を利用し、各世代が重要と考える社会保障の分野(年齢階級別)をグラフにしたものである。

   図表:年齢階級別に見た重要と考える社会保障の分野
(出所)厚労省(2011)「平成21年 社会保障における公的・私的サービスに関する意識等調査 報告書」から筆者作成

 興味深いのは、このグラフが各世代の“本音”を明確に映し出している点だ。「60-69歳」「70歳以上」といった引退世代は、自らの便益につながる「年金」「老人医療・介護」が重要と回答する一方、若い世代の便益につながる「子育て支援」「雇用・失業対策」は重要な分野と回答しない傾向が読み取れる。

 他方で、「20-29歳」「30-39歳」といった若い世代は、自らの便益につながる「子育て支援」「雇用・失業対策」が重要な社会保障分野と回答する一方、引退世代の便益につながる「年金」「老人医療・介護」を引退世代ほどには重要と見ない傾向が読み取れる。

 以上の傾向は、各世代が「世代間利他性」(互いの世代の利益も考慮する)を強く有するというよりも、「世代間利己性」(自らの利益のみを考慮する)を強く有する可能性が高いことを意味する。

 この場合、人口構成の高齢化により「政治の高齢化」が進む中では、社会保障の削減を中心に財政赤字を縮減する政策に対する政治的ハードルは高まっていく。

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「太陽と北風、公的債務削減にはどちらが有効?」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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