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焦点はサルコジ対オランドではない

内を向くフランス:極左・極右は欧州協調への不信任

  • 森井 裕一

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2012年4月24日(火)

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 フランスの大統領選挙で、社会党のオランド候補が首位に立った。現職のサルコジ大統領は2位に甘んじた。この順位に注目が集まっている。しかし、東京大学の森井裕一准教授は、両候補に行かなかった票に注目すべきだと言う。全投票の3分の1は極左・極右勢力に流れた。

 オランド候補とサルコジ候補の間に、大きな政策の差はない。どちらが次期大統領になっても、EU諸国との協調路線、および、グローバル化に対応するための構造改革路線を取ることになる。極左・極右に流れた票は、これら路線に対する「不信任」を意味する。これらの路線がもたらす失業や社会保障の削減に対する不満と不安を表す。

 いずこの国も国政選挙においても、争点は国内問題になりがちだ。外交問題はかすみがちである。

 オランド氏とサルコジ氏のどちらが政権を取るにせよ、新政権は難しい舵取りが求めらる。ユーロ危機に対応し、緊縮財政を維持しつつ、足元で膨れ上がる市民の不満に対応しなければならない(編集部)。

 選挙はどこの国でも内向きなものである。フランスの大統領選挙は、もちろんフランスの指導者を選ぶものだ。しかし、フランスは欧州の中で大きな影響力を持つ。その大統領がとる政策は欧州連合(EU)の行く末を左右する。そのために世界のメディアも注目する。

 ところが選挙権を持つフランス国民は、世界やEUにおけるフランスの位置づけに対してあまり大きな関心は持っていない。自国の経済・社会状況と候補者のパフォーマンスや政策を判断材料にする。候補者たちも有権者に向かって話しかける。

 現職のサルコジ大統領は、ギリシャ危機、ユーロ危機の中でドイツのメルケル首相と歩調を合わせて欧州のリーダーとして振る舞ってきた。ユーロ危機はひとまず小康状態を保っている。隣国ドイツは、危機における信頼できる指導者としてサルコジ大統領を高く評価している。危機の再発を中長期的に防ぐための新財政条約がようやく合意に漕ぎ着けたのも、サルコジ大統領がドイツの考え方に譲歩したことが大きい。

 しかし、このことは、今回のフランスの大統領選挙では高く評価されていない。有権者は、サルコジ大統領は5年前の選挙時に約束したことを守っていない、失業が増大し、社会保障が切り詰められて人々の生活は苦しくなった、と評価している。サルコジ大統領自身、選挙戦の終盤ではドイツと距離を置いた。「メルコジ」と呼ばれるほどに強くメルケル独首相との協調路線を進めてきたことが、フランス国民から必ずしも好感されていないと認識してのことだ。

 はたして、グローバル化が進む現代の世界で、一国の指導者がとる政策はどのような違いをもたらしうるのか――ということをフランス国民の多数は問わない。。欧州の場合、EUをどのように利用して政策を展開すればよいのかを考えることは、本質的な政策論争の中心となり得るテーマのはずだ。だが、そのような議論は見られない。フランスの大統領選挙の中で登場するEUは、「フランスに対してネガティブな影響を与える迷惑な欧州」のイメージが強い。

 フランス政治も内向きになっている。サルコジ大統領は移民の流入を押さえるために、国境管理の撤廃――欧州統合のこれまでの象徴である――を規定している条約の見直しを訴えた。社会党のオランド候補は、イギリスとチェコを除くEU諸国が合意した新財政条約を批判した。そして財政緊縮を強制するこの条約を再検討し、特に成長戦略の要素を盛り込むことを主張した。これを聞いたドイツの与党勢力は、サルコジ大統領がようやく納得して合意した政策が再び元に戻ってしまうのではないかと懸念した。

どちらが政権を取っても政策に大差はない

 ただし、社会党のオランド大統領が誕生したとしても、それによってこれまでのフランスの政策が大きく転換するとはドイツでは考えられていない。各候補は、選挙戦で訴えたことを、当選後にそのままフランスの政策として主張するわけではない。オランド候補とサルコジ大統領の政策は、原子力エネルギーの利用などにおいてある程度の差があるが、決定的に方向が異なるわけではない。昔の社会党系と保守系のような大きな政策の違いは存在していない。

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