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震災復興のカギは「宿泊施設」にあり

仮設宿泊施設を観光サービス・トレーニングのチャンネルに

  • 川井 徳子

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2012年5月7日(月)

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 東日本大震災の復興の足取りの重さには、現地の宿泊施設不足があるのではないか。「作業員の環境改善と、地域の復興のベース、さらには観光産業の人材育成の場として、官民が組んで地元に『宿』を作ろう」。そんな活動に乗り出したのが社団法人「ソーシャル・サイエンス・ラボ」の川井徳子氏だ。

 復興の視点から見て、東日本大震災が阪神・淡路大震災に比べて非常に不利な点がある。

 阪神・淡路大震災の場合は大阪や姫路といった、巨大な人口集積地が神戸を取り囲んでいた。だから復興の現場で働く人達は通勤する事ができた。しかし今回の被災地は違う。

 宮城の石巻・気仙沼、岩手の陸前高田・大槌・釜石といった湾岸部へ人口集積地の盛岡や花巻などの内陸部から通うには、片道2時間、雪の多い時期なら3時間はかかる。つまり、通勤による復興要員を確保することが困難な地域なのだ。

 復興庁が発足した当日の新聞記事に、「地元で復興工事に十分な人手が確保できず、宿泊施設確保が困難」「1泊2食分のコスト上昇がゼネコンの動きを弱め、復興復旧工事の入札が不調に」といったニュースがあった。

 岩手県、宮城県、福島県の3県の宿泊施設が復興のためにどれくらい不足しているのか。精緻につかむことは難しいが、宿泊施設の需給ギャップについて推計した調査がある。この調査資料(リンクはこちら)を基に、被災地復興のために一つの提案をしてみたい。

 詳しくは最後のページの資料を見ていただきたいが、東北3県の宿泊施設の震災前の稼働率をもとに、震災後の稼働率を30%と仮定すると、復興作業者に供給できる割合は70%となり、3県全体の宿泊供給能力は10万5554~14万5501人/日と予測される。さらに復興作業者の利用に適した立地であることを加味すると供給能力はさらに低下し、4万6069人/日と算出される。

稼働率の3割以上の観光客が泊まれない

 一方、復興予算から算出される復興作業従事者の宿泊需要は5万1044人/日と推計され、東北3県において復興予算の執行と上場企業の復旧作業のために、今後10年で平均して4975人分/日の宿泊施設の不足が生じるという試算へと行き着く。

 このように、需要を「復興作業員」に限った場合でも、大きな宿泊需給ギャップが生まれている。さらに、ボランティア、医療などの公務の支援活動者なども加われば、宿泊施設がより不足するはずだ。一方、復興が進み観光が盛り上がってくれば、宿泊客が増加して、復興事業者へ供給する割合はもっと減ることになる。

 この試算では花巻、遠野といった観光地の宿泊施設での、観光客による定員稼働率は震災前より低く、30%と仮定している。言い換えると復興作業に当たる人に宿を提供するためには、施設の稼働率の30%以上の観光客は受け入れられないことになる。地域の復興に必要な宿泊場所の提供が、地域にお金を落としてくれるはずの観光客を排除する方向に働くのだ。

 震災復興・復旧事業を進めるため、加えて観光客を必要以上に排除することを避けるためには、どうやら、住民のための仮設住宅と同様に、仮設の宿泊施設が必要になると推定される。

 しかしながら、復興需要を目的とした仮設の宿泊施設が開業したという話は聞こえてこない。なぜなら、このような仮設宿泊施設には、運営上の大きな問題点が潜んでいるからだ。

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