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ドコモは何を恐れたのか

日本通信との接続料訴訟、その対立の深層

2012年5月1日(火)

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 携帯電話の通信設備を貸し出す際の接続料をめぐって、司法の場で争う見通しとなったNTTドコモと日本通信。「2008年に合意した接続料の算定式を2010年度以降、ドコモが一方的に変更した」と主張する原告側の日本通信に対し、ドコモは「法令やガイドラインに従っている」と反論。いまのところ、両社の主張は真っ向から対立している。

 ドコモの通信設備を利用しているMVNO(仮想移動体通信事業者)の加入者はドコモの加入者でもあり、両社の関係は本来、「ウィン―ウィン」であるはず。それがなぜ、これほどまでにこじれてしまったのか。

 両社の主張を取材する中で判明した未回収コストの存在などを基にドコモの危機感を分析していくと、日本通信とはまったく別の、ドコモにとっての真の脅威が浮かび上がってきた。

年間3500億円の未回収コスト

 「ドコモのコスト負担分がMVNOと同じなら、2010年度実績で3500億円のコストが未回収になる。この負担をドコモのユーザーだけに押し付けるのはおかしい」――。日本通信に対するドコモの主張を端的に表現すると、こうなる。

 あらゆる社会インフラと同様に、携帯電話網にも設計上の性能幅を上回る設備が備わっている。こうした設備が一斉に稼動することはないが、インフラを円滑に運用するためには欠かせないものだ。「MVNOである日本通信も、こうした設備のコストについて応分の負担をすべき」というのがドコモの主張の骨子だ。

 一方、ドコモの通信設備を利用する日本通信は、自社が実際に利用する設備についてのみ、コストを負担するのがMVNO本来の姿だと主張している。こうした認識の違いが、接続料をめぐる両社の対立の根底にある。

 現行の算定式ではこの認識の溝を埋めないまま、両社が主張する値の平均値をとって、接続料を計算している。このことが、日本通信が「接続料は本来払うべきコストよりも高い」と感じる一方で、ドコモは「未回収のコストが残っている」という不満を抱える要因になっている。

 ドコモは今年2月、2011年度の接続料を総務省に届け出るのにあたって、自らの主張に沿い、未回収コストを含めた接続料を日本通信に提案している。「接続料が急激に変化するのを緩和するため、3年かけて段階的に未回収コストを算入する配慮をした」(古川浩司企画調整室長)ものの、日本通信はこの提案に猛反発。ドコモはその後、この提案を取り下げている。

NTTドコモの古川浩司企画調整室長

 結果的にドコモが4月13日に公表した2011年度の接続料の原価の中に、未回収コストは算入されていない。では、「ドコモが接続料の算定式を一方的に変えた」という日本通信の主張の根拠は何なのか。日本通信はこの点について、4月19日に開いた記者会見では詳しく説明していない。

 ドコモの古川室長は日本通信が主張する「算定式の変更点」について、「訴状を受け取っていないため、今は推測するしかない」と前置きした上で、「2010年度から接続料の原価の中に加えた『接続料直課コスト』のことを指しているのではないか」と話す。

 接続料直課コストとは、MVNOに通信設備を貸し出すために必要になった人件費や物件費のことで、MVNOに固有のコストだという。古川室長は「日本通信のMVNOサービス開始から一定期間が経過し、通年の実績コストが把握できるようになったため、2010年度から接続料の原価に加えた」とその経緯を説明する。

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「ドコモは何を恐れたのか」の著者

白石 武志

白石 武志(しらいし・たけし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社編集局産業部(機械グループ)、京都支社、産業部(通信グループ、経営グループ)を経て、2011年から日経ビジネス編集部。現在は通信、半導体、家電業界などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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