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大統領が交代しても独仏は揺るがない

フランス新大統領、オランド氏の素顔

2012年5月15日(火)

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 5月15日午前10時(日本時間で午後5時)、フランス大統領に就任するフランソワ・オランド氏(以下オランド)。緊縮財政を訴えた前任者サルコジを破っただけに、彼の政策がユーロ不安の再燃に繋がるのではと案じる向きも多い。これまで影が薄かった彼の人となりを、ヨーロッパの政治・外交史に詳しく、経済史、政治経済学の各専門家とともに1920年代から現在に至るまでのフランスとヨーロッパ統合の通史を編んでいる(『ヨーロッパ統合とフランス』、法律文化社から6月刊行予定)吉田徹・北海道大学法学研究科准教授に聞いた。(聞き手:山中浩之)

直球ですが、まず、オランドってどんな人なのでしょう?

吉田:政治家としてのオランド氏のキャリアを一言で言えば、「不遇」につきるかもしれません。

吉田徹(よしだ・とおる)
北海道大学法学研究科准教授。1975年生まれ。慶應義塾大学法学部卒、日本貿易振興機構(ジェトロ)を経て東京大学総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専攻はヨーロッパ比較政治、フランス政治史。著作に『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、『二大政党制批判論』(光文社新書)、共編著に『政権交代と民主主義』(東京大学出版会)、『ポピュリズムを考える-民主主義への再入門』(NHK出版)など。2012年6月に法律文化社より編著作として『ヨーロッパ統合とフランス』が刊行予定。
(写真:大槻 純一)

 1980年代に若くしてミッテラン政権の経済担当補佐官になったものの、最初の選挙ではシラク大統領の地元での立候補を強いられて落選。その後なかなか政界に打って出るチャンスがなく、88年に初当選を果たしますが、93年に左派の大敗で再び浪人生活に戻ることになります。その間に、国立行政大学院(ENA)の同窓生で事実婚のパートナーだったロワイヤル(2007年の大統領選挙でサルコジと争いました)はすでに大臣職も経験し、一躍有名になっていました。

苦労人なんですね。ロワイヤルさんとは実は仮面夫婦だった、なんて暴露本も書かれましたっけ。

吉田:彼女とは2007年の大統領選後直後に別離を表明しましたね。このようにオランドは地道にキャリアを積んできたものの、97年に左派政権が誕生した時も社会党の第一書記(党首に相当)のポストを預けられただけ。02年から左派は政権についていませんから、これが現在に至るまで閣僚職を経験していないという、彼のマイナスポイントにつながっています。

 ただ、11年間も魑魅魍魎が跋扈する社会党内の調整役を経験したせいか、機を観るに敏で、空気を読んだ上で最適な解を見つけ出す能力には優れています。サルコジ大統領が突破型とすれば、オランドは調整型リーダーです。氏と会議で同席したことのある私の友人は、「オランドはまず全員の意見を聞く。その上で判断を下す。そしてその判断は決してぶれない」と印象を述べています。

最後までサインを続けてくれたオランド

 その一方で「普通の大統領」という彼の選挙スローガンが示す通り、人好きで上から目線ではない所にも特徴があります。2011年、社会党予備選の真っただ中のことでしたが、オランドのサイン会があり、私もその最後列に並びました。時間が来て、取り巻きが急かしているにも係らず、彼は最後に並んだ私の順番が来るまで丁寧に対応していました。そういう実直な所があります。

 そんな彼が一念発起をしたのが、2012年の大統領選です。それまで政敵はおろか、党内でもオランドが大統領になるとは誰も予想していなかった。しかし社会党の大本命、ストロスカーンが婦女暴行疑惑で脱落して、彼は予備選で勝利することができました。

 立候補の際の決心は並々ならぬものがあったはずです。ロワイヤルと別れ、新しいパートナーであるジャーナリストのトリエルヴィエール女史からのアドヴァイスも受けて、10キロ以上減量してイメチェン。軽薄に見られる原因でもあった冗談好きも封印して、威厳を演出しました。「足こぎボートの船長」などと揶揄されたこともありましたが、あれよあれよという間に本命に。「優れた政治家は、時代に合わせて自分を演出できなければならない」というのはドゴールの言葉ですが、オランドはそれを見事に成し遂げたといえるでしょうね。

「彼がフランス大統領になることで、独仏が主導してきたEUの緊縮財政路線を維持できなくなり、ユーロ不安が再燃する」という見方についてはどうでしょう。

吉田:選挙戦の中でオランドがEUの財政協定の見直しを主張したことなどから、新政権の政策を不安視する声も出ていますが、私は心配していません。

 彼は長年、ドロール元欧州委員会委員長の忠実な支持者で、党内的には改革派、経済政策についてもプラグマティズムを優先する立場です。彼自身も「任期中に財政均衡を実現する」と明言しましたし、公約上でもサルコジ政権を上回るような支出拡大を打ち出しているわけではありません。

それは日本での報道のイメージとはちょっと違いますね。ではEU、特にドイツとの関係ではどうなると。

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「大統領が交代しても独仏は揺るがない」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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