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ユーロ危機はまだ解決できる

ジョージ・ソロス氏、大いに語る

2012年5月21日(月)

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 ナチ占領下から戦後、ソ連支配下に落ちたハンガリーから逃れたソロス氏は少年だった。それだけに以来、平和を維持しつつ経済発展を目指す欧州の統合には注意を払ってきた。EUは「開かれた社会」の手本となり得るとベルリンで熱く語り*1、危機解決策を描いてみせた。

*1=金融危機発生後の2009年に、ソロス氏は新たな経済理論を構築するために経済研究所INET(Institute for New Economic Thinking)を設立。今年4月に、ユーロ危機をテーマにベルリンで世界の経済学者や政策立案者を集めた国際会議を開催、本人も講演した

 ユーロ危機は、非常に複雑な危機だ。ソブリン(政府債務)危機であり、銀行危機であり、競争力及び国際収支を巡る危機でもある。そしてこうした経済的問題に、社会的・政治的問題が重なり、事態は悪化の一途をたどっている。

 だが、本来、欧州連合(EU)は欧州の理想だったはずだ。市場参加者の心理分析も研究している精神分析学者デービッド・タケット氏が指摘するように、EUは、「まだ実現していないが、素晴らしい夢」だった。

統合の先頭は常にドイツだった

 欧州統合のプロセスは戦後、非常に長期的な視点を持った少数の指導者が先頭に立って始まった。彼らはその実現が容易ではないことを知っていたので、しっかりとした政治的意思は持ちつつも、限られた目的で一歩ずつ前進する道を選んだ。

 その過程で問題が判明したら、解決しながら前進すればよいと考えた。こうして欧州石炭鉄鋼共同体が、少しずつ前進しながらEUへと発展を遂げた。

 ドイツはこの努力の過程で常に最前線に立ってきた。ソ連が崩壊し始めた時、ドイツのリーダーたちは東西ドイツの統一は欧州がさらに統合して初めて可能になると分かっていたので、膨大な犠牲を払うことを厭わなかった。

 経済的な問題が浮上すれば、ドイツは常に他国より多くを負担し、リターンについては他国ほど求めず、他国と譲り合いつつ様々な合意にこぎ着けた。当時、ドイツの政治家は「ドイツに独立した外交政策はない。欧州の外交政策があるだけだ」とよく主張していた。

 かくしてマーストリヒト条約が成立し、ユーロ導入も実現した。ただ、残念なことにその後、経済が停滞し、2008年には金融危機が発生した。

 以来、事態はユーロ崩壊へのプロセスへと変質していった。私は今回のユーロ危機は、EUそのものの存在をダメにする可能性があると見ている。

 崩壊に向けた最初のステップは、米リーマン・ブラザーズが破綻した直後にアンゲラ・メルケル独首相がこう言い放った時に始まった。「金融機関に対する保証は、欧州が一体となって行うのではなく、各国政府でそれぞれ行うべきだ」。ドイツの姿勢が明らかに変わった瞬間だった。

コメント1件コメント/レビュー

著者が述べられた解決策が良いかどうか私には分からないが、このようなユーロ全体で目標があれば今回の危機も乗り越えられる気がする。(2012/05/22)

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「ユーロ危機はまだ解決できる」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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著者が述べられた解決策が良いかどうか私には分からないが、このようなユーロ全体で目標があれば今回の危機も乗り越えられる気がする。(2012/05/22)

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