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「虚栄心を買う」キャバクラシステムの限界

コンプガチャの何が問題だったのか?

2012年5月22日(火)

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 グリー、ディー・エヌ・エー(DeNA)のソーシャルゲーム大手2社が、自社のゲームの「コンプガチャ」という仕組みが景品法に抵触する可能性があるとの消費者庁からの指摘を受け、相次いで廃止を表明した。両社を始め、ソーシャルゲーム関連企業の売上急拡大をもたらした「コンプガチャバブル」はあっけなく弾けた。しかし「子供はともかく、大人がどうしてゲーム上のアイテム集めにそこまでオカネをつぎ込むのだ?」と、首をひねる方もいるのではないだろうか。この仕組みは「キャバクラ」に見立てると分かりやすい。日経ビジネスオンラインでゲーム関連記事を執筆している、野安ゆきお氏に解説してもらおう。

 最初におさらいしよう。コンプガチャの語源は、玩具屋の店頭などにある、お金を入れてダイヤルを回すとカプセルが出てくる「ガチャガチャ」と呼ばれる販売機だ(正式名称は「カプセルトイ」)。ソーシャルゲームの「ガチャ」はそのデジタル版で、お金を払うことで「何かは分からないけれど、アイテムが出てくる」仕組み。「コンプガチャ」は、その上位版だ。「ガチャで入手できるいいアイテムが6種類ありますよ。それらを、すべて集める(コンプリートする)と、さらに凄いアイテムが手に入りますよ!」というものだ。ガチャで入手するアイテムをコンプリートすることを目的とする仕組みのため、「コンプガチャ」と呼ばれている。

 もともと「何十回、何百回と、ガチャに挑戦しないと入手できないアイテム」を、さらに何個も集めさせるため、狙ったアイテムを得るまでに数万円~数十万円もの出費が必要になり、それが問題視された要因になっている。ここまではご存じの方も多いだろう。

 後述するが、「ゲーム内で使うだけのアイテムを手にするため、何万円もの大金を使ってしまう人」は、日本に限らず世界中に存在する。しかし、その人数は企業の業績を爆発的に伸ばすほど大量にはいなかった。例えば、グリーの2011年6月期の売上高は前期の352億円から641億円に伸び、今期は約1700億円を見込む。その大きな柱がコンプガチャのシステムを組み込んだソーシャルゲームだ。

 なぜ日本のソーシャルゲームでは、めちゃくちゃにオカネをつぎ込むユーザーが激増したのだろうか。

「俺の奢りだ!」虚栄心をお金で買わせるビジネス

 日本で流行しているソーシャルゲームは、ほとんどが「仲間たちと力を合わせ、目標を達成するゲーム」になっている。目標も「魔王を倒してオシマイ」ではなく、次々と入れ替わるので、結局のところ「仲間と力を合わせる」体験が売り物だ。しかも、携帯やスマホがゲーム機となるため、いつでも「仲間の助けを求める声」に応えることができる。

 だから、(コンプガチャで少なからぬお金を払って手に入る)強力なアイテムを持っているユーザーは、色々な人から救援を求められる。「頼りにされ」「感謝される」ことになるわけだ。

 そういう人が、もしゲームを辞めようとするとどうなるか。「やめないでください」「頼りにしていたのに。もっと遊びましょうよ」と嘆かれることになる。同じゲームを遊ぶ仲間との間に、よく言えば信頼関係、悪くいうならば「しがらみ」のようなものが発生するのだ。

 ゲームに縁がない方には、キャバクラなどの、「女性がいる飲食店」と同じ仕組みなのだと考えると、分かりやすいかもしれない。

 大金をパーッと使って、羽振りのいいところを見せると、店の女性たちからちやほやされる。いつも一緒に連れて行く友人たちからも、「○○さん、御馳走様でした!」「また連れてってくださいね!」と、心地よい言葉を浴びることができる。かくして、お金を使い続けるかぎり、いい気持ちになれる、という状況にはまっていく。

 これはソーシャルゲームで強いアイテム欲しさについお金を注ぎ込んでしまうことと、基本的にはまったく同じ。お金を使うと、みんなに感謝され、尊敬され、ちやほやされる。ゲーム内の強者ランキングに名前が載ることもあり、虚栄心が様々な形で満たされる。使えば使うほど、「○○さんって、凄いよね」と評判になるという仕組みになっている。

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「「虚栄心を買う」キャバクラシステムの限界」の著者

野安 ゆきお

野安 ゆきお(のやす・ゆきお)

ゲームジャーナリスト

ファミコン時代からゲーム業界に参加。1000本以上のソフトを体験し、100冊を超えるゲーム攻略本制作に参加している。ゲーム雑誌編集部、編集プロダクションを経て、現在はフリーランスとして活動中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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