財界でも政府でも「グローバル人材」という言葉が大流行りだ。これはかって流行った「人間力」と同様で、適当な英語の訳が見当たらない。筆者も日本人だから、この言葉の意図するところはだいたい分かっているつもりだ。だが、結論から言うと、「グローバル人材」になるのは難しい。「世界は厳しい」と思う。
今日のコラムは厳しく聞こえるかもしれないが、現実が厳しいのだから、ご容赦願いたい。
2011年に日本政府が発表した「グローバル人材育成推進会議の中間まとめ」を通読した。日本の海外留学者数は、2004年には8万2945人だったものが、2009年には6万6838人に減少。米国への留学者数は2000年の4万6497人から2009年の2万4824人へとほぼ半減した。高校生の海外留学も1992年の4487人をピークに、2008年には3190名に減少している。
留学生の減少は、学生の「内向き志向」が原因とよく言われる。だが、必ずしもそうではない。同調査はその原因をよく浮かび上がらせている、留学を断念した理由を学生に聞くと「帰国後の留年を懸念している」が67.8%。「経済的問題」が48.3%だった(複数回答)。大学の制度から奨学金まで、様々なバックアップ体制が不備なのだ。文科省は留学予算の98%を外国人の受け入れに消化している。日本人の送り出しに割いているのは2億円強にすぎない。
留学生の減少を受けて、海外で働きたいと思う学生も減少している。2001年には「将来海外で働きたい」という学生は71%で、「働きたいと思わない」が29%だった。それが2010年には、「海外で働きたい」が51%に減少して、「働きたいと思わない」が49%にまで上昇している。
2010年のTOEFLにおける日本人受験者の平均スコア、は163カ国中135位。アジア30カ国中、27位だった。スイスのビジネススクールIMDが発表した2011年の世界競争力ランキングで、「外国語のスキル」の部門を見ると、日本は59カ国中、58位とブービー。
減る留学生と低迷する語学力。これが日本の現状だ。
一方、世界の人材市場で起こっていることを紹介しよう。元グーグル日本法人社長の村上憲郎さんから聞いた話だ。まずは、採用される側に要求されること。
学歴そして成績至上主義が現実
1・世界はあきれるほどの学歴主義
世界はあからさまな学歴主義だ。学歴と言っても東大とか早稲田とかではない。そういう大学名はよほど日本通の外国人でないと知らないだろう。世界に通用するブランド大学だけが「学歴」である。具体的には、ハーバード、エールなどのアイビーリーグにMIT、スタンフォード、カルテック、バークレー。米国以外ならオックスフォード、ケンブリッジくらいが「学歴」として認められる。
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