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「2022年以降は、尖閣の領有権が奪回できなくなる」と焦る中国

日中海洋協議が延期されなかった理由

2012年5月24日(木)

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 東シナ海における危機管理や救難協力などを話し合う日中高級事務レベル海洋協議の初会合が、5月15~16日にかけて中国浙江省杭州市で行われた。日中双方から海洋関係の実務者が参加し、海洋における両国間の協力と課題について意見を交換した。

 報道内容を総合すれば、日中海洋協議の初会合はまずまずの滑り出しだったと言える。とりわけ、日中関係がぎくしゃく――石原慎太郎・東京都知事による尖閣諸島買い取り表明や、「世界ウイグル会議」の日本での開催など――する中、この協議が予定通り行われたことは驚きでもあった。一方、中国がこの海洋協議の設置に合意した背景には、尖閣諸島の領有権に関する焦りが透けて見える。

 この協議の設置は、野田佳彦首相と温家宝首相が昨年12月に会談した際に合意したものだ。2010年9月に尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に体当たりした事件以降、同海域で中国公船の領海侵犯などが相次いでいる。これを踏まえて、海上での不測の事態が軍事衝突にエスカレートしないように、当局者の交流を深めることを目的としている。この協議は今後、定期的に開かれる。

「信頼醸成が重要」との認識で一致

 初会合は、異例のものとなった。中国側の要請で、冒頭取材も認めない完全非公開のものだった。

 中国側からは外交部、国防部、総参謀部、公安部、交通運輸部、農業部、国家海洋局、国家能源(エネルギー)局が出席。日本側からは外務省、内閣府(総合海洋政策本部)、文部科学省、水産庁、資源エネルギー庁、国土交通省、海上保安庁、防衛省、環境省の各担当者が出席した。

 全体会合では日中両国がそれぞれの省庁の体制や業務内容を紹介し。2国間の協力や交流について意見を交わした。その後、「政策・海洋法ワーキンググループ会議」を開き、両国は海洋政策及び国内法について相互に説明した。

 日中の海洋関係機関が一堂に会し、顔合わせをしたことは両国間の信頼醸成の第一歩として画期的である。中国には人民解放軍海軍と別に、「五龍」と呼ばれる5つの海洋保安機関がある。尖閣周辺海域に頻繁に出没するようになった海洋監視船や漁業監視船はそれぞれ、「五龍」に数えられる農業部と国家海洋局に属している。今回は「五龍」からの出席者が、日本の海上保安庁や防衛省関係者らと初めて協議の場についた。実際に海の上で衝突する可能のある実力組織同士がお互いを知り、交流することは、危機管理の上で重要である。

 協議の結果、日中両政府は信頼醸成の構築が重要との認識で一致した。また焦点の一つだった尖閣諸島をめぐり、双方は原則的な立場を主張したが、激しい応酬にはならなかったようである。中断している東シナ海のガス田交渉は、今回の協議対象としないことで事前に合意していた。

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「「2022年以降は、尖閣の領有権が奪回できなくなる」と焦る中国」の著者

小谷 哲男

小谷 哲男(こたに・てつお)

日本国際問題研究所研究員

同志社大学法学研究科博士課程単位取得退学、岡崎研究所等を経て、2012年4月から日本国際問題研究所研究員。日米関係と海洋安全保障問題を専門とする。「海の国政政治学」の確立に向けて奮闘中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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