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ルネサス再建、乱れる足並み

2012年6月5日(火)

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ルネサスエレクトロニクスの経営再建策が揺れている。日立製作所、NECなど大株主は資金支援に否定的だ。資金調達ができなければ、人員削減などの合理化もできない。

マイコン事業で台湾TSMCとの提携を発表したルネサスエレクトロニクスの岩元伸一・執行役員(右)(写真:山本 琢磨)

 「工場売却など、憶測による質問はノーコメント」。ルネサスエレクトロニクスの岩元伸一・執行役員は、こう繰り返した。5月28日、台湾の半導体受託製造大手、台湾積体電路製造(TSMC)とマイコンの共同開発・生産委託についての記者会見。詰めかけた報道陣の関心は、TSMCへの工場売却観測などルネサスの再建策に集中していた。

 1万人を超える規模の人員削減、工場売却など製造拠点の集約、そしてリストラ費用を賄うための1000億円規模の増資。ルネサスは認めてはいないが、これが経営再建策の骨子とされる。しかし、実現への道のりは険しい。

 ルネサスは日立製作所と三菱電機のシステムLSI(大規模集積回路)事業を統合したルネサステクノロジと、NECエレクトロニクスが2010年4月に統合して誕生した。マイコンと呼ばれる半導体分野でシェアは約3割と世界トップ。特に自動車制御用のマイコンは4割のシェアを持つ。電子化が進む自動車にマイコンは欠かせず、昨年の東日本大震災でルネサスの工場が被災した折には、国内の自動車メーカーは生産停止や減産に追い込まれた。

 しかし、高いシェアの割に収益力が低い。2010年4月の発足から2年間、四半期単位で見ても最終損益が黒字になったことはない。原因は重い固定費だ。3社の寄り合い所帯のため製造拠点が分散し、昨年末時点でグループの従業員数は約4万4000人に上る。会社更生法の適用を申請した半導体大手、エルピーダメモリと比較すると、売り上げ規模は2倍なのに、従業員数は7倍以上になる。

 顧客の要望に合わせて設計するシステムLSIは、汎用品のメモリーと比べて開発に人手が必要。それを勘案しても、売上高に占める販売管理費の比率が38%というコスト構造は重すぎる。大規模な人員削減などで高コスト体質から脱却しないと、黒字定着は難しい。

 合理化には資金が必要だが、手元資金は減少を続ける。格付けが低く、起債は「厳しい」(小倉和明・取締役執行役員常務)。銀行から借りれば済むが、赤字が続く状況では、中期的な経営再建策の提示を迫られる場合が多い。

日立、NECは資金支援に否定的

 1000億円規模とされる増資は、合理化に伴う財務への負担を考えれば避けられない道。母体である大株主3社に要請が行くのは自然な流れだろう。ただ、3社の足並みはバラバラだ。

 「要請が来たら検討し、3社で連携して何らかの対応は図っていきたい」。5月21日、三菱電機の山西健一郎社長は、経営戦略説明会の席上でルネサスに言及した。前向きな姿勢とも取れるが、日立とNECのスタンスは異なる。

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「ルネサス再建、乱れる足並み」の著者

白石 武志

白石 武志(しらいし・たけし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社編集局産業部(機械グループ)、京都支社、産業部(通信グループ、経営グループ)を経て、2011年から日経ビジネス編集部。現在は通信、半導体、家電業界などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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