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消費税に「逆進性」は存在しない

税負担率は「生涯」で見るべき

2012年6月7日(木)

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 いま国会の特別委員会で、社会保障・税一体改革関係法案の審議が進んでいる。政治的争点の一つは、消費税を5%から10%に引き上げる税制改革法案である。

 消費増税を巡っては、1)低所得層ほど消費税の負担が重いとされる「逆進性」、2)その対策としての「給付付き税額控除(負の所得税)」や「軽減税率」、3)インボイスの導入可否、4)マクロ経済に及ぼす影響、5)社会保障財源としての是非、などが議論されることが多い。

「消費税=比例賃金税」の同等性

 このうち、1)は見かけ上の問題にすぎない。生涯を通じて見れば、「逆進性」は基本的に存在しない。家計間での遺産・贈与の移転が少ない経済では、「消費税=比例賃金税」という関係式が成立するからだ。比例賃金税は、労働所得の多寡を問わず、労働所得に対して同じ比率で課す税金のこと。すなわち「逆進性」は存在しない。

 これは、遺産・贈与を受け取ることのない個人の生涯消費計画(予算制約式)を考えると簡単に理解できる。論点を明確にするため、以下の図表1のように、この個人の寿命は80歳で、現役期の20歳から60歳までは毎年500万円の収入で生活をする一方、引退期の60歳から80歳までは毎年200万円の収入で生活をするものとする。

図表1:個人の生涯消費計画

 まず、消費税がなく、比例賃金税(例:20%)だけを課す経済において、個人の生涯消費計画は以下のように表現できる。

生涯消費=(1-0.2)×生涯賃金 …[1]

 この式の意味は、とても単純である。この個人の「生涯賃金」は「500万円×40年+200万円×20年=2.4億円」。比例賃金税20%のケースでは、現役期の毎年の手取りは(1-0.2)×500万円、引退期の毎年の手取りは(1-0.2)×200万円であるから、「手取りの生涯賃金」は「(1-0.2)×500万円×40年+(1-0.2)×200万円×20年=(1-0.2)×2.4億円=1.92億円」となる。1.92億円の範囲内で生涯の消費を賄うのである(注:厳密には金利を考慮する必要があるが、説明を簡易にするため金利=0とした)

 同様に、比例賃金税がなく、消費税(例:25%)だけを課す経済において、個人の生涯消費計画は以下のように表現できる。

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「消費税に「逆進性」は存在しない」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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