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今から「日本の財政破綻」を考える

危機で慌てない6つのポイント

  • 加藤 秀樹(東京財団理事長)

  • 小林 慶一郎(一橋大学教授

  • 前東京財団上席研究員)

  • 加藤 創太(東京財団上席研究員)

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2012年6月8日(金)

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 5月に行われたギリシャとフランスの選挙結果が1つの引き金となり、ユーロ危機の状況が深刻化している。6月17日のギリシャ再選挙を前に、ギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びて語られるようになった。ユーロは大幅に値を下げ、世界同時株安も進んでいる。スペインでは大手銀行が公的資金導入を要請し、国債の利回りが高騰している。

 欧州においては、市場の動きが先導する形で、EU(欧州連合)など国際機関や他国政府が中心となり、PIGS諸国(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)などの対応が決められてきた。ギリシャとフランスでは、その政治の流れに対する反動が現れたといえよう。

 このことから、民主主義の1つの弱点である、「意思決定に時間がかかる」という問題が浮き彫りになっている。ギリシャもフランスも、事前に国民的な討議と合意が、まったく形成されていなかったと言える。そして、相次ぐ財政危機の下で、民主主義への悲観論が世界的に台頭している。加速していく市場の動きに民主主義の動きがついていけないため、市場動向に引きずられる形で、各国の政策が非民主的に決定されていくことになる。それに対する不満が蓄積し、政治反動の可能性が高まっていく。

 本稿では、日本の財政危機の際の対応策をあらかじめ検討していくべきという点を強調するが、こうした市場と民主主義とのスピード差は、事前の対応策が求められる1つの理由となる。危機時にどのように対応すべきかについて、平常時に時間をかけて政治的な合意を得ておくことは、市場と民主主義との調和という点で有意義であるからだ。同時に、危機が近づいた時に、国民が一体となって断固とした対応の実施を表明することで、危機自体を未然に防ぐという効果も期待されよう。

原発事故の教訓、「想定外は許されない」

 各種の試算によれば、現在の日本が抱える財政債務の対GDP(国内総生産)比率は発散経路に乗っている。つまり、今の状態が続けば、日本の財政債務は膨脹し続ける。デフレ下の現状においては現実感に欠けるかもしれないが、最近のギリシャのような急激な財政危機が数年後~十数年後に発生する可能性が大きいと多くの専門家は考えている。

 財政危機は、国債価格の暴落、政府の資金調達機能の停止、急激なインフレと円安の進行、失業の急増など多重の危機的現象を引き起こす。その場合、ギリシャのように大きな経済的、政治的、社会的なコストが発生するが、そこで発生する膨大なコストを最終的に負担するのは国民である。

 こうした事態にいかに備えるべきか? 原発事故に際しては、事故が発生した後のことを事前に想定していなかったため、対応が遅れて被害と混乱が拡大した。財政破綻の場合は、原発事故よりさらに対応の法的手続きが複雑であり、各種の意見調整も困難を極めることが予想される。「財政危機の発生は想定外」とすれば、原発事故の教訓を無にすることになる。国民心理を過度に慮り、危機の存在を否定し、危機の可能性についての議論をタブー視すること自体が、大きなリスクとなるのである。

 もちろん、危機発生前に財政改革を進める方が国民にとっての負担ははるかに小さくて済む。財政危機を起こさないように日本の政策当局はまず全力を尽くすべきだが、財政危機が発生した場合の対応をあらかじめ考える政策的意義は大きい。

 また、財政危機には、心理的要因が市場を通じて自己増幅する面がある。あるきっかけを通じて市場関係者にパニック心理が広がれば、国債の投げ売りなどが始まり、経済状況に関係なく、財政破綻が現実のものとなってしまうかもしれない。そういった心理的パニックを防ぐためにも、危機時の対応策について事前に国民的合意を得ておくことが重要となる。

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