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「主語がない言葉」を操る連中はキケンだ

TPPに反対する弁護士業界の論理を分解してみた

2012年6月21日(木)

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 先日、大手弁護士事務所で渉外弁護士を務める知人と、TPP加入に関して議論した。有名大学を卒業して大手事務所に就職、米国留学して米国弁護士の資格も取得し、それなりに稼ぐ国際派の彼だが、ほかの同業者と同様にTPP加入反対の意見を持っている。

日本が米国のような訴訟社会になるぞ

 彼に自分としての意見を問うたところ、曰く、「TPPが要求するルールの国際化は、日本的な慣習の防波堤を破壊する。国際ビジネスに豊富な経験を持つ渉外弁護士が何千人もいるアメリカの弁護士事務所が、どんどん日本に入ってくるぞ。日本がもし、ほんの些細な事でも訴訟を仕掛けるアメリカ的な契約社会になってしまったら、日本経済や社会はどうなってしまう?」

この論理を分解すると

 彼の論理は、TPP加入で不利益を被る立場の人間が多くする議論であり、マックスウェーバーの言う価値合理性の議論である。これは、本来現実の営みである政治が行うべき目的合理性の議論に比べ、以下のような特徴を持っている。

・定量性の欠如:自分が顧客としている日本の企業の利害得失など定量的な検討はせず、全て丸めて「恐ろしいもの」にしてしまう。

・時間軸の欠如:長い年月を掛けて段階的に起こる変化の時間軸を省略し、「目の前の大きな変化」として、本質的に変化を嫌う人間の恐怖感を煽る。

・俯瞰性の欠如:弁護士や契約、訴訟といった問題のみを扱い、世界や歴史観といった、広がりを持った視点での議論は意図的に避ける。

 1990年からこの方、このような局面的な議論で妥協的かつ漸進的に通信自由化、金融自由化をしてきた日本は、果たしてどれだけの国富を失ったであろうか?結果、ITやコンサルティング、金融といった産業は世界の第一線から取り残され、政府部門に巨額の負債を抱えた日本は、明日への不安で一杯だ。

 詳細は省くが、私は彼の論点を1つひとつ論破していった。そもそもそのような私の論理は、国際的なフィールドで渉外弁護士として活躍する彼にとっては、自明のことである。

 敗色の濃い議論がひと段落すると、彼は、最期の切り札的な議論を出してきた。

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「「主語がない言葉」を操る連中はキケンだ」の著者

大上 二三雄

大上 二三雄(おおうえ・ふみお)

エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社 代表取締役/北九州市 参与

1981年東京大学工学部を卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)入社。企業の戦略、オペレーション、IT、アウトソーシングを中心にしたさまざまな企業改革に従事。事業開発グループ統括パートナーとして事業開発・ベンチャー投資の責任者を務めた後、2003年に退社。現在、エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役。他に北九州市参与、立命館大学MBA客員教授、東京大学EMPアドバイザー、ISL幹事などを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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