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主役欠席の中で「ドイツ包囲網」が生んだEU首脳会議の成果

財政統合にステップアップした「国境を越えたリストラ」

  • 渡邊 啓貴

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2012年7月10日(火)

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 6月28~29日の両日開催されたEU首脳会議は、スペイン・イタリアの財政危機に対する当面の対応と経済成長協定を取り決めて、一応成功裏に終了した。

 奇妙な会議であった。何しろ主役のいない会議だったからである。ユーロ危機はギリシャの財政危機に端を発している。5月の総選挙では緊縮派が大きく得票を減らし、「ユーロ離脱か」と騒がれた。この6月の再選挙を経て緊縮派のサマラス政権が成立したことで、ギリシャの政治危機はとりあえずの危機を免れた。そのギリシャの代表が今回の首脳会議に実質的に「欠席」。このため、ギリシャ問題は議論しないということが事前に決まっていた。

 他方で新たな危機に直面しているスペインとイタリアに対する支援策が前面に出た。

 欧州経済は緊縮と成長のジレンマに悩んでいる。だがEUはこれまで、危機に直面するたびに、それをバネとしてステップアップを繰り返してきた。今回の首脳会議でも、銀行同盟・財政統合の議論をめぐって、独仏の摩擦、「南北欧州の角逐」が生じた。たが、ともかく次の一歩の方向性は確認した。その意味で、欧州統合の「ガバナンス」の真骨頂を示したと言えよう。

綱渡りが続くギリシャ危機

 世界は6月17日に行われたギリシャでの再選挙を、固唾を呑んで見守っていた。結果次第ではギリシャがユーロから離脱する懸念があったからである。ギリシャに対する次の融資は6月末。それまでにEUと合意した116億ユーロの歳出削減策をまとめねばならなかった。だが、再選挙で反緊縮派が多数派になった場合には紆余曲折が予想されたからである。

 幸い、6月の再選挙では、緊縮派の「新しい民主党(ND)」が第1党に、同じく緊縮派の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が第3党となり、合わせて過半数の162議席を獲得した。これらを与党として、アントニス・サマラスND党首を首班とする連立政権が誕生した。

 この選挙結果について間違ってはいけないのは、ギリシャ国民が緊縮政策を受け入れたのではない、ということだ。国民は、ユーロ離脱という最悪のシナリオを避けるため、やむを得ない選択を行った。5月の選挙において、反緊縮派の「独立ギリシャ人」に投票した人の約21%、ユーロ離脱を主張する極右政党「黄金の夜明け」に投票した人の18%が、今回はNDに投票したという調査結果が出ている。

 ギリシャでは、「自分たちはむしろグローバリゼーションの犠牲者である」という声も強い。サマラス首相が率いるNDに投票したのは、EUとの間で結んだ厳しい緊縮政策について、「再交渉」すると同党が公約したからであった。国民はこれに期待した。

 6月23日にサマラス新政権は、これらの緊縮策を見直す提案を発表した。緊縮目標達成期限の2年間、先送りする。公務員15万人削減計画と、付加価値税の一部引き上げ(23%から9%へ)も延期する。

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