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“日の丸飛行機”の焦燥

中韓勢の追い上げに大同団結

  • 伊藤 正倫

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2012年7月12日(木)

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 それは、日本の航空機産業の現状を端的に示す記者会見だった。

 米ボーイングと三菱重工業、川崎重工業、富士重工業は6月28日、東京大学生産技術研究所と航空機の製造技術に関する共同研究を年内に始めると発表した。会見では、中央にボーイング幹部が陣取り、向かって右に東大の研究者、左に日本を代表する重工メーカーの部門トップが座り、脇を固めた。

 具体的には、まずチタンやアルミ、複合材といった航空機部材の切削加工技術の向上に取り組む。こうした材料は、加工時に歪みが出たり、高硬度であったりして、切削の難易度が高い。ボーイングとの日本の3社は東大と協力して切削時の温度変化などを解析し、使用する部材のムダ省き、かつ工具類の摩耗を抑える加工法を確立したい考え。「航空機部材のコストを削減し、かつ環境負荷の低いものにしたい」(ボーイング幹部)。今後は各企業の技術者が月1~2回の頻度で東大に集まって、研究を進める。研究テーマを切削加工技術以外に広げることも視野に入れる。

 これまで日本の産学連携では、企業と大学が1対1で組み、特定のテーマを研究することが主流だった。今回のように、複数の競合企業が参加するコンソーシアム形式は、本格的な研究に至らないケースが多かった。ライバルに手の内を見せたくないなどの理由から、企業間の足並みがそろいにくいからだ。

 それでも、国内の航空機産業大手が大同団結したのは、それぞれが最終製品メーカーではなく、ボーイングなど米航空機メーカーの製品開発・製造への参画が事業の中核だからだろう。ボーイングの製品力向上がビジネス拡大に直結する点で、国内各社の利害は一致するのだ。今回の共同研究がボーイング主導であることもうなずける。

 もう1つ、国内各社の部門トップが口を揃えて挙げた理由が、航空機産業における新興国の追い上げだった。

現場で培った“秘伝のタレ”では限界

 三菱重工業の小林孝・常務執行役員(航空宇宙事業本部長)は「国内各社は、現場での思考錯誤の中から独自の技術を獲得してきた。いわば“秘伝のタレ”で、これが日本企業の強みだ。しかし、それだけでは新興国に負ける。より科学的なアプローチで製造技術を研究する必要があると判断した」と述べた。

 例えば、ボーイング製の新型旅客機「787」では日本勢が機体の35%を担当。今のところ、実績において、中国や韓国を大きく引き離している。だが、「安閑としていては、将来の日本企業の地位は危うい。日本の英知を結集して対応しないと...」(川崎重工の村山滋・常務=航空宇宙カンパニープレジデント)と危機感をあらわにする。

 韓国は、航空機メーカーの韓国航空宇宙産業(KAI)を、国を挙げて育成している。中国でも、旅客機を含めた航空機の国家プロジェクトを推進している。実績では一日の長があるとはいえ、家電や自動車で見せた中韓勢の追い上げスピードを考えると、プライドやメンツにこだわっている場合ではない。各社に共通する課題を協力して解決し、技術力の底上げを急ぐ姿勢は評価できる。

コメント2件コメント/レビュー

MRJ新たに100機受注のニュースの日に、この記事をアップするとは。まあ日経さんもタイミングが悪いですね。(2012/07/12)

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いただいたコメント

MRJ新たに100機受注のニュースの日に、この記事をアップするとは。まあ日経さんもタイミングが悪いですね。(2012/07/12)

とりあえずMRJは新規に100機受注したけどまだまだ少ない。受注の弾みになってくれれば良いが。あと開発の遅れが気になる。航空機の開発は往々にして遅れることはよくあるが、これ以上の遅れは受注に影響するだろう。問題は初飛行さえ未だ行われていない状況では、飛行後の試験で更に開発が遅れる事が容易に想像できる点だ。初飛行から製造、引渡しまで遅滞なく進んだ飛行機は皆無だからだ。(2012/07/12)

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