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キーワードで振り返るオリンピック(前編)

揺れ動く理念、政治による翻弄

2012年7月18日(水)

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 いよいよ7月27日(現地時間)から、英ロンドンで夏季オリンピック大会が始まります。近代オリンピックが始まった1896年のアテネ大会から数えて、第30回目となる記念大会です(1906年のアテネ中間大会は除く。3度の中止大会はカウントに含める)。ちなみにロンドンは1908年大会、1944年大会(第二次世界大戦のため中止)、1948年大会に続く4回目の開催となります(実質的には3回目)。北島康介(水泳)、室伏広治(ハンマー投げ)、なでしこジャパン(女子サッカー)など、日本の有力選手やチームの活躍が楽しみですね。

 そこで今回の「社会を映し出すコトバたち」は、オリンピック(以下、五輪)をテーマにしたいと思います。様々な切り口で関連キーワードを紹介。五輪について、前後編の2回にわたってふりかえってみましょう。前編となる今回は、東京五輪がきっかけで普及した概念、五輪の理念、五輪の呼称、五輪と政治、競技運営上のトラブルについて取り上げます。なお本稿の検証対象は主に夏季大会としました。

東京五輪を契機に普及した概念

 話の枕として東京五輪(1964年)をきっかけに普及した言葉を紹介しましょう。

【ウルトラC】この言葉は元々、体操日本代表チームの関係者が「最高難度(当時)の“C”を超える技」という意味で発した言葉でした。これがスポーツ紙を通じて一般にも広まったのです。結局、日本代表は団体総合で金メダルを獲得するなど大活躍。以後、ウルトラCは「離れ技」(三省堂「大辞林」など)を意味する日本語として定着しました(ウルトラCについては「モダン、電気、ウルトラ。共通点は何?」もご参照ください)。

【ピクトグラム】デザインに興味のある人なら、東京五輪以降の日本で「ピクトグラム」の概念が急速に普及したことをご存知でしょう。ピクトグラムとは「絵文字」のこと。公共施設における案内や誘導のために使用するマークを意味します。非常口のマーク(扉から外に逃げる人を描いた緑色のマーク)などが好例です。実は五輪において、案内用のピクトグラムを採用したのは東京五輪が初めてでした。アジア初の五輪開催であり、日本語に不慣れな関係者や観客が多数来日したことが背景にあります。

【コンパニオン】来客をもてなす役割を担う「コンパニオン」も、五輪をきっかけに一般化した概念でした。ちなみに英語のcompanionは基本的に「仲間」を意味します。しかしながら日本語ではなぜか「催し物の案内役」や「接待役の女性」などを意味します。東京五輪の当時、日本オリンピック委員会は諸外国の要人を案内するための女性(多くは、大会関係者の子女のうち外国語が堪能な人)を組織して、彼女たちを「コンパニオン」と呼びました。これが、日本的なコンパニオンの始まりとなったのです(「仲間」の用法は以前から存在した)。余談ながら東京五輪のコンパニオンの中には、後に長嶋茂雄と結婚することになる西村亜希子もいました。

【おれについて来い】変わったところでは「おれについて来い」という表現も、東京五輪を契機に大流行しました。女子バレー日本代表監督の大松博文(だいまつひろぶみ)が五輪前年の1963年に発表した著書「おれについてこい!」がきっかけで、有名になった表現でした。「鬼の大松」とも呼ばれた同監督は、チームをスパルタ方式で厳しく指導。その結果チームを金メダルに導いたのです。漫画・アニメ・ドラマの世界で「スポ根」(スポーツ根性もの)と呼ばれるジャンルが流行したのは、東京五輪後のことでした。従って「スポ根」も、五輪を契機に普及した概念だったと言えます。

 このように東京五輪は、当時の日本社会に大きな影響を与えました。そのことを、言葉の側面からも窺い知ることができます。

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「キーワードで振り返るオリンピック(前編)」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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