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「幸せ」は、長野県にあるらしい

夏休みに振り返る人生の選択肢

2012年8月24日(金)

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 夏季休暇がある度に、「帰省せねば」という強迫観念に襲われつつ放置し自責の念にかられます。職場と実家が遠い場合、仕事と家族のバランスはどう取れば?(30代女性)

 遙から

 お盆、夏休み、8月は仕事中心人間にとって、否応なしに“家族”や、“人生”を考えさせられる月だ。あれほど忘れていたのに思い出し、無意識に逃げてきたもう一方の選択肢と今の自分を比較させられてしまう、そんな月だ。どういうことかというと…。

プールサイドの光景

 働く独身女性と「一日くらい、夏を楽しもう」と、ホテルのプールに行った。夏限定のガーデニングプールには、子供連れの、ちょっと経済力のある家族とカップルが多い。

 親とはしゃぐ子供の光景を、女二人が、「ああいう幸せもあったのだなぁ」と、デッキチェアーで寝ころびながら遠く穏やかに眺める。

 恋人たちが、今の流行なのか、だっこ泳ぎを随所でしている。ずっと抱き合ったままプール内をただいちゃいちゃする。ラッコがじゃれ合うように。「それって今のうちだから楽しんで」と、皮肉…いや、エールを心で送る。プールサイドに目をやる。

「すぐ、あんな風になるねんけどなぁ」と友達が言う。

 デッキチェアには、若くして腹の出た、そして、毛の薄くなった夫たちがあぶらぎって転がる。

「トドみたいやなぁ」とつぶやく。

 向こうでは、プール担当のホテルマンに、60代の男性が孫を連れてなにやら怒鳴り散らしている。真っ黒に日焼けして平身低頭するホテルマンとこれ以上出ようのない腹でまだそり返る60代。平和なプールサイドに命令形の言葉が響く。

「見苦しいなぁ」
「金持ちの孫はこの構図でまた勘違いして育つというわけや」
「金持ちになったらなったで…」と、ため息をつく。

 数時間後、「では歯医者に行くから」と私はプールサイドを後にする。そういえば友達もまた、午前中転んでできた怪我を治療しに病院に行き、片腕包帯姿でプールサイドに登場し、周りをぎょっとさせた。

「泳げないけどせっかくのプールだから、来た」と痛み止めを飲む。

 働く独身女性の夏休みは、互いに、病院と病院の合間のプールのひとときで慌ただしく終わった。

 ただ、私の夏はそれで終わらなかった。

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「「幸せ」は、長野県にあるらしい」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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