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原発事故で露呈、繰り返し「業界の虜」となる規制当局の病巣

ガバナンスが破綻したのは今回だけではない

  • 福元 健太郎

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2012年8月31日(金)

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「規制当局が事業者の虜になった」福島原発事故。だが規制当局の独立性の欠如と専門性の欠如は、たびたび深刻な事件の原因になってきた。その構造的な病根について、気鋭の政治学者が斬る。

 先日、福島原発事故に関する4つの報告書が出揃った。だが報道などによる報告書の受け止め方を眺めていると、報告書で指摘された問題点が、あたかも原発特有のもの、悪く言えば、原子力ムラという対岸の火事であるかのように伝えられていると感じた。

 規制政策の破綻という側面から原発をめぐるガバナンス(統治構造)を考えれば、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の『報告書』(2012年7月5日)が簡述するように、「規制機関の組織的問題点は『独立性の欠如』『透明性の欠如』『専門性の欠如』に集約される」のであり、「規制当局が事業者の『虜』となっていた」。しかし私見では、安全規制部門に独立性と専門性が欠けていたために、規制行政が被規制業界を優遇し、消費者の安全を大きく損なう事態を招いた構図は、他の多くの政策分野・業界でもあった。以下で検討するように、不良債権・薬害エイズ・BSE問題などがいい例だ。我々は原発行政の失敗を他山の石としなくてはならない。

 まず原発行政と原発事故の問題点を確認することから始めよう。1つは、産業振興部門に対する、安全規制部門の「独立性の欠如」である。資源エネルギー庁が原子力利用の推進を担う一方で、原子力安全・保安院が安全規制を任されていた。だが、ともに経済産業省の管轄下にあり、前者が後者に優先した。

 もう1つは、被規制業界と比較した、安全規制部門の「専門性の欠如」である。規制する側の保安院は原子力に関する専門性が低く、規制される側の電力業界が専門知識を提供して政策に大きな影響を与えた。さらには、経済産業省の官僚が多数電力業界に天下りしていた。

 この度、保安院は経済産業省から切り離され、原子力安全委員会などとともに、環境省の外局として設置される原子力規制委員会に統合される。

金融行政でも見られた「独立性と専門性の欠如」

 これと似たような図式が見られた代表例が、金融行政と不良債権問題だ。旧大蔵省銀行局・証券局は、護送船団方式の行政指導で金融業界の保護育成を図る一方、当の金融機関の健全性を検査するという利益が相反する役割を持っていたが、重点は前者にあった(独立性の欠如)。また金融当局のキャリア官僚はゼネラリストであって金融業のスペシャリストではないため、金融業界から専門知識を得ており、特に金融自由化により業務が複雑化してからはこの傾向に拍車がかかった(専門性の欠如)。

 各金融機関も大蔵省担当職員(MOF担)を置いて関係の緊密化を図った。金融業界に天下りしていた大蔵官僚OBは数知れず、金融業界から過剰接待を受けたことが不祥事として発覚した現役官僚もいた。現在米エール大学のフランシス・マコール・ローゼンブルース教授は1989年に出版した著書で、まさに日本の金融当局が金融業界の「虜」になっていたことを指摘していた。こうした制度配置の下で、金融検査が甘くなり、不良債権が肥大化したのである。

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