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電力自由化、中小、個人に打撃

  • 石川 和男

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2012年9月5日(水)

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東日本大震災を受けて電力改革に関する議論が急速に進展しつつある。将来的な完全自由化を目指す政府・経済産業省のプランには欠陥が多い。現状の計画のままでは、電力会社が得をし、中小企業、個人が損をしかねない。

 関西電力大飯原子力発電所の再稼働、東京電力への公的資本注入など、電力を巡る目の前にある課題は段階的に克服されつつあるように見える。だが、実際は問題山積だ。

 その1つが電力改革である。この7月、政府・経済産業省は「電力システム改革の基本方針」を公表した。この基本方針では、(1)需要サイド(小売り分野)の改革(2)供給サイド(発電分野)の改革(3)送配電分野の改革――が3本柱となっている。

 年明けの次期通常国会での電気事業法改正案の提出に向けて、さらに具体的に検討中とのことだ。この改革案の検討は、震災による原発事故を踏まえたエネルギーミックスと、原子力発電をベース電源の中心とした地域割りの垂直一貫体制に関して、電力供給システムの持続可能性の観点からの疑義が生じていることが契機となっている。

 基本方針から読み取れるのは政府・経産省が目指すのが、“電力全面自由化”であるということだ。だが、そこには大きな問題がある。

自由化で得するのは電力会社

 まず、政府は「すべての国民に電力選択の自由を保証する」と標榜するが、そうならば、すべての国民の電力選択の自由を保証するほどの新電力の候補は誰か、具体的な市場参入予定者を確定させていなければならない。

 これまで1995年(卸電力自由化)、99年(大口電力小売り自由化)など、電気事業法改正による自由化は順次実施されてきた。ところが、新しく自前の発電所を造った新電力は数社だけ。今回は卸電力市場の活性化策も併せて進めるとのことだが、電気料金の大半を占めるのは電源費用、つまり発電所の建設・運転費用である。同じ電源を使って供給者を代えても、電気料金が抜本的に低下する理由は見当たらない。

 電源建設が進まなかった原因は既存電力にあるとされているが、実質的には投資リスク(資金調達)と環境規制が大きな壁だ。グローバルなマネーゲームの中で高い投資リスクに応じた高いリターンがなければ適切な投資は呼び込めないことは当然だろう。環境政策が新電力の大規模な石炭電源計画を葬り去った経緯もある。市場参入を招くために政府が本気ならば、環境規制の大幅な合理化の必要もある。

 いずれにせよ、今後当面は、選択可能な電力供給者は各供給区域で既存電力会社しかいないことは明らかだ。新規参入者がいないのに自由化法制を敷けば、既存電力の独占力が強くなるだけだ。新規参入予定者がいるならば、改正法の提出時までに実名を挙げておくべきだろう。そうでないならば、小売り全面自由化は、既存電力会社の独占力を強めるだけに終わってしまう。

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