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シャープ・鴻海提携交渉にみる日本家電産業復活のカギ

2012年9月14日(金)

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 8月30日に調印と思われていたシャープと鴻海(ホンハイ)の資本提携交渉が難航している。提携見直しのきっかけとなったシャープの株価下落は、30日の“郭台銘董事長離日ショック”で31日にも大幅安が続き、同日の東京証券取引所の終値は198円であった(当初の両社合意時点の株式買い取り価格は550円台)。

 しかし、これをあまり悲観的に捉えるのは日本にとっても台湾にとっても良いことではない。むしろ、ホンハイを代表とする台湾や中国の高効率生産を日本企業はもっと学び取り、それを自らの資源にしていくことが肝要だ。東アジア諸地域との政治的緊張が高まっている今だからこそ、これらの地域との経済的な連携の意義を今一度確認したい。

内向きの発想を捨て、東アジア地域での活路を考えるべき

 シャープとホンハイの提携交渉が長引いている1つの理由に、相手が台湾企業であることに対して「技術流出」の懸念があるのではないだろうか? 仮にシャープ自身がそう思っていなかったとしても、マスメディアや投資家、消費者の間にそうした懸念を抱く日本人がいるのではないか。

 実際、ホンハイが液晶パネル生産工程にコミットすることを要求しているらしいとの報道では、「シャープの生産技術を吸収する狙い」との分析を加えた報道も散見されるが、素朴に考えて、液晶パネル4大メーカーの1つでシャープよりも市場シェアの高い奇美(チーメイ)電子を傘下に置くホンハイが、それほどシャープの「生産」技術を欲しているとは思えない。(ただし、シャープ亀山工場が持つパネルの「要素」技術については別の話になるかもしれない。詳しくは後述する。)

 そもそも提携相手企業が欧米企業であった場合に、「技術流出の懸念」という議論になるであろうか。日産自動車と仏ルノーの提携の際に日本の自動車技術が欧州に流出するということが問題になっただろうか。東レとデュポン、IHIとGE(ゼネラル・エレクトリック)、トヨタ自動車とBMWなど欧米企業との連携はともすればオープンイノベーションともてはやされる。

 他方で、ソニーが韓国サムスン電子と液晶パネル事業で提携したときには、多くのメディアがあたかもソニーを国賊のように報じていた。それこそ、日本人が中国・台湾・韓国など東アジア諸地域に対する潜在的な差別意識の表れではないだろうか。技術流出という発想の原点には、常に日本の方が技術的に優れており、東アジア企業の製品は日本の技術を模倣した「安かろう悪かろう」であるという考えがある。

 もちろん、日本の家電産業の特徴の1つには長年にわたる優れた技術の蓄積が挙げられる。DVDや薄型テレビ、3G携帯電話などの基本技術は全て日本企業が開発したものである。しかし、消費者が購入するのは技術そのものではなく、製品であり、製品の差異化の手段として技術があることを忘れてはいけない。これら日本発の製品事業にもかかわらず日本メーカーが利益を出すことができていないように、製品が「主」であり、技術は「従」なのである。

 また、製品の機能・性能を向上させるだけが技術の使い道ではないということも忘れてはいけない。日本企業は、テレビの画質、ポータブルオーディオの音質、携帯電話の多彩な機能など、製品の機能・性能を向上させるための技術開発活動には熱心であるが、コストダウンのために生産効率を上げる、模倣困難なデザインや感覚的な操作性の気持ちよさなどを実現するために技術開発を行う、という分野への取り組みには消極的である。

 日本の液晶パネルメーカーは、一度液晶パネルの量産化技術を確立すると、現状の生産技術の効率化よりも、次世代のパネル技術の開発に関心が移ってしまう。その間、台湾や韓国メーカーはその時点で確立した技術の生産効率を高めるための技術投資を熱心に行ってきた。その結果、大量の液晶パネルを安価に安定的に供給することができ、それが市場での競争優位をもたらしたと考えられる。

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