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Gゼロ時代、日中の衝突不可避

米国際政治学者、イアン・ブレマー氏に聞く

2012年10月30日(火)

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世界は米中によるG2でなく、指導国が存在しないGゼロ時代に突入したとの指摘で知られる。そうした中、台頭する中国が自国の利害をあらわにし、日本と衝突するのは必然だったと言う。地政学的動向が過去にも増して重要になった今、日本企業のあるべき対応方法を聞いた。

イアン・ブレマー(Ian Bremmer)氏

米ボストン生まれ。1994年スタンフォード大学で博士号を取得。その後25歳で同大学フーバー研究所の史上最年少の研究員となる。98年、ニューヨークにて政治リスクの調査研究・コンサルティング会社ユーラシア・グループを設立、現在120人のスタッフを擁し、各国の政府系機関や金融機関、多国籍企業など300社を顧客に持つ。2007年には世界経済フォーラムが選ぶ「ヤング・グローバル・リーダー」の1人に選ばれた。(写真:的野 弘路)

指導国が存在しない「Gゼロ」という世界の到来を指摘したのが2011年1月。近著『「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか』では、今後、アジアと中東で衝突や紛争が増えると警告している。尖閣諸島を巡る日中の対立もそうした流れの1つか。

ブレマー:残念ながらそうだ。10年前ならこうした問題は発生しなかった。中国が自国の利害をむき出しにするほどまだ大国になっていなかったからだ。日本の言うことに耳を傾けざるを得なかった。

中国は自国の利害をあらわにする

 だが毎年、日本より格段に速いスピードで成長し、経済力、技術力、軍事力など力をつけるに従い、中国は今後、ますます自分たちの利害をあらわにするだろう。こんな状況にもかかわらず、世界的な指導力を発揮できる国はもはや存在しない。よってアジアでは、日中だけでなく、様々な衝突が増えていく。そして、それは地域の経済成長に打撃を与えることになる。

 今回の尖閣諸島を巡る衝突は、タイミングも最悪だった。重慶市共産党委員会書記だった薄熙来氏の失脚というスキャンダルに加えて、9月上旬には習近平国家副主席の動静が2週間も途絶えるなど、政権移行を前に国民の関心を国内問題から何とかそらせたい中国政府にとっては絶好の機会となった。

 ただ、日中の衝突は遅かれ早かれ不可避だった。尖閣諸島問題は資源問題というより、「象徴的な問題」であることを強調しておきたい。中国は南シナ海でもベトナムなどと資源を巡って、深刻な問題を抱えている。だが、中国全土で反ベトナムのデモが広がったりはしない。なぜか。

 日中間には教科書を含め、歴史認識の違いといった問題が存在する。だが、それ以上に中国にとっての日本は様々な意味で微妙な存在だからだ。

日本は敵に回してよい国

 まず、経済大国世界2位の中国が追う1位の米国と、3位の日本は同盟関係にある。米中の間には、共通の利害が多く存在するが、信頼関係は全くない。日中も同様で、利害は多いが信頼はない。中国は米国が日本と組んで、中国の台頭を抑え込もうとしていると見ている。それは必ずしも真実ではないが、中国がそう感じるのも分からなくはない。

 加えて中国にとって日本は、今や米国にとってのロシアのような存在に変質したことを認識すべきだ。

 米国のマイケル・マクフォール駐ロシア大使は今年1月、モスクワに赴任した初日に「自分は民主主義の信奉者であり、ロシアの反プーチン勢力の味方だ」との趣旨の発言をした。米政府は、ロシア政府を最初から怒らせるような人物だと分かって送り込んでいる。それほど今の米国はロシアを重視していない。敵に回してもよいとの判断で、中国の日本の位置づけも同じだ。

 一方、中国は米国とは「問題を起こしたくない」と考えているため、衝突することがあっても米国からの輸入品の通関を遅らせたりはしない。

 クリントン米国務長官も訪中の際、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世や人権の問題にほとんど触れない。米国にとって資金力豊富な中国は最重要国との認識からだ

 米大統領選の共和党のミット・ロムニー候補は当選したら初日に中国を「為替操作国」に認定すると発言しているが、万一当選してもそうはしない。彼も、中国が米国にとっていかに大切な国か認識しているためだ。

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「Gゼロ時代、日中の衝突不可避」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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