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産業スパイ予備軍、募る閉塞感

  • 伊藤 正倫

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2012年11月9日(金)

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新日鉄住金から韓国ポスコへの技術漏洩訴訟が始まった。“営業秘密”を漏らしたとされる元社員には、厳罰を求める。だが同時に、技術者の士気を高める制度整備も喫緊の課題だ。

 「会社に多大な貢献をした先輩技術者も、定年が来れば十把一絡げに放り出されるのを見るとね…。士気は上がらない」。大手化学メーカーの技術者、安田大輔氏(仮名)は嘆息する。

 このメーカーは、あるデジタル家電向け素材で世界断トツのシェアを持つ。技術漏洩には細心の注意を払い、社内の研究発表の場ですら、この素材に関する成果が明かされることはほとんどない。だが、技術者の待遇は、持ち場にかかわらず大差ないという。

 日亜化学工業の元技術者、中村修二氏が日亜に対し、青色LED(発光ダイオード)発明の対価を求めた特許訴訟は記憶に新しい。最終的に両者は和解したが、1審は日亜に約200億円の支払いを命じ、産業界に衝撃が走った。

 安田氏の勤務先でもこの訴訟を受け、収益に貢献した特許について技術者に一定割合を還元する報酬制度ができた。しかし、技術者の士気向上には大して役立っていないようだ。

 なぜなら、ライバル企業に手の内をさらすことになる特許化は基礎研究が主な対象で、製品化に近い研究の多くは“営業秘密(ノウハウ)”として社外秘となり、特許化しないからだ。そして、「営業秘密は会社の研究成果のざっと8割を占めるが、技術者に報いる明確な制度はない」と安田氏は話す。

 ライバル企業が欲しいのも製品化に近い営業秘密であり、産業スパイ予備軍である内部の不満分子に接触する。

 10月25日に始まった、新日鉄住金(旧新日本製鉄)による元社員と韓国鉄鋼大手ポスコに対する技術盗用訴訟でも、この営業秘密の漏洩が焦点だ。発電所の変圧器などに使う特殊鋼板「方向性電磁鋼板」の製造技術のうち、約40年の研究成果である営業秘密が漏れた結果、短期間でポスコにシェアを奪われたと新日鉄住金は主張する。

 同社の訴状によると、漏洩させたとして起訴した元技術者A氏は、入社から約32年にもわたって方向性電磁鋼板の開発に従事。開発の中心人物であったことは想像に難くない。退職後、ポスコと関係が深い韓国の大学の客員教授に就任。漏洩が事実なら、この前後に本格化したと考えられる。

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