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iPS細胞、募る日本の危機感

2012年12月4日(火)

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米国が、民間企業にiPS細胞バンクの構築を委託した。実用化に本腰を入れる海外勢に、関係者は身構える。国内でも、関連企業の育成と制度面の整備が急がれる。

 「米国がiPS細胞(新型万能細胞)バンク作りに本格着手した。1年以内には臨床で使えるiPS細胞の大量培養が始まり、実用化研究が進むだろう」

 こう話すのは、スイスの医薬品受託製造大手ロンザの関係者だ。同社は今年10月、米国の医学研究の中核である米国立衛生研究所(NIH)から、医薬品生産で求められる品質管理基準に対応したiPS細胞の製造受託が決まったばかりだ。

 NIHは、再生医療への応用を視野に、高品質で均一なiPS細胞を蓄積して研究機関に提供する細胞バンクの構築を狙う。この目的のため、細胞関連分野で高い製造ノウハウを持つロンザとの契約で先手を打った。

 NIHは幹細胞研究に年間約900億円もの巨費を投じる。iPS細胞バンクができれば、その細胞を利用して米国内の企業や研究機関で研究が加速するのは間違いない。国内の関係者は、「ついに米国が本気になった」と身構える。

 iPS細胞実用化のカギを握る細胞バンクは欧州でも計画が進行中。日本でも、京都大学iPS細胞研究所のiPS細胞バンク計画が京都大病院の倫理委員会で承認され、構想が動き始めた。

 同研究所の計画では、大多数の日本人に移植しても拒絶反応が起きにくいタイプのiPS細胞を重点的に準備する。日本人の体質に着目し、効率的に細胞バンクを作る狙いだ。これは、ノーベル賞受賞が決まった京都大の山中伸弥教授が繰り返し訴えてきた構想でもある。

 欧米と異なり、日本は公的機関が細胞バンク作りを担う。将来的に実用化に結びつけるには、企業の力を活用したバンクの規模拡大が必要だが、iPS細胞を高品質で製造する国内の産業基盤はまだ乏しいのが現状だ。

 iPS細胞の登場前から幹細胞研究が活発だった欧米に比べ、日本は細胞製造や再生医療を担う企業が圧倒的に少ない。臨床レベルの細胞を扱う専用施設や人材も、iPS細胞研究所以外には十分に整っていない。文部科学省幹部は、「細胞バンク構築を企業に委託しようとすれば、国費の多くが海外に流れてしまう」と懸念を示す。

 米国のように企業のノウハウを積極的に活用して研究を加速させるうえでは、制度面の課題も見えてきた。

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「iPS細胞、募る日本の危機感」の著者

田中 深一郎

田中 深一郎(たなか・しんいちろう)

日経ビジネス記者

日経新聞科学技術部、証券部を経て、2012年4月より日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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