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“塀の中”の労働力を生かせ

2012年12月14日(金)

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不況のあおりを受け、“塀の中”での刑務作業が存続の危機にある。地場産業の衰退や、製造業のアジアシフトが原因だ。一方で、旧来の概念を打ち破る刑務作業品が飛ぶように売れているという。

 日本の刑事裁判の判決の多くは懲役刑だ。実刑判決を受けた刑事被告人はその後、収容先の刑務所で「刑務作業」という労働が科されることになる。

 この刑務作業は、ただ単に「懲らしめ」が目的ではない。様々な職業訓練を通じて、出所後の社会復帰の可能性を高め、再犯防止にもつながる。現在、受刑者の多くが無職者(2010年に新たに受刑者となった者のうち68.3%が無職)であり、「手に職をつけて」出所させることが、刑務所には求められているのだ。

 刑務作業の内容は刑務所によって個性がある。定番はたんすや食卓、応接セットなどの家具や革靴、簡単な加工品など。受刑者の技術指導に当たるのは刑務作業専門の職員だ。各刑務所は得意のジャンルを持ち、生み出された様々な製品は、全国の刑務所での販売会や、全国のイベントスペースの矯正展などで買い求めることができる。

 刑務作業品にかかる人件費は極めて少ない。だから、国内メーカーのブランド品と比べ、価格面では半分程度と割安で提供できる。品質や安全面でも決して見劣りしないため、好んで刑務作業品を買う消費者は少なくない。

 一方で、製品に最新の流行を取り入れたり、デザイン面で工夫したりといった部分では正直、いま一つのものが多い。また、犯罪者が製作したという「負のイメージ」がつきまとうため、若者の関心はあまり高くないのが実情だ。

刑務所にも押し寄せるデフレの波

 全国の刑務所で作られた製品の売り上げは、国庫に収められる。しかし歳入額はこのところ右肩下がり。2002年度から2011年度までの10年間では約81億円から約45億円と、半分近くまで減少している。

 その原因は、“塀の外”の不況が大きい。刑務作業の多くは、民間からの請け負いで成り立っている。刑務所近くの中小・零細企業が、仕事の一部を刑務所に発注しているのだ。

 しかし、長引く不況による企業の倒産や発注量の減少、さらに、より人件費の安い東南アジアへの発注のシフトなどによって、刑務所に仕事が入らなくなっているという。

 しかも、刑務所の主力製品である家具が近年、売れなくなっている。それはライフスタイルの変化によるところが大きい。作りつけ家具が備わる新築マンションが増え、たんすを婚礼家具として買うカップルも減っている。また、デフレで安価な家具が席巻し、低価格な刑務所ブランドのメリットが失われている。

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「“塀の中”の労働力を生かせ」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト