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笹子トンネル事故で浮き彫りになった大量老朽化にどう対処する?

インフラ劣化先進国の欧米の対応に学ぶべき点

2012年12月21日(金)

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 2012年12月2日、中央自動車道の笹子(ささご)トンネルで起きた天井板崩落事故は、高度経済成長期に造られた多くの構造物が、建設から30年以上経った現在、一斉に老朽化しようとしていることに改めて警鐘を鳴らすものとなった。

 欧米の先進国は、日本より一足先にこうしたインフラの老朽化に直面している。しかし、どの国も財政難であることには変わりなく、維持管理や補修に予算を割きたくても割けない事情は日本と同じ。では、どのような施策を講じて、この社会的課題を乗り越えようとしているのか。欧米の動向に詳しい、建設コンサルタントの中村裕司氏に聞いた。

(聞き手は中野目 純一)

笹子トンネルの崩落事故で、高度成長期に造られたインフラの老朽化が改めてクローズアップされました。きちんと打音検査をやっていなかったという話もあります。技術的な原因はさておき、こうした問題が起きる背景には、何があるのでしょうか。

中村 裕司(なかむら・ゆうじ)氏
1972年名古屋大学卒業、石川島播磨重工業入社。89年同社を退社し、建設コンサルタント会社のアイ・エス・エスを設立、代表取締役に就任。98年アイ・エス・エス創研を設立し代表取締役。2007年アイ・エス・エスアールズを設立し代表取締役。2010年アイ・エス・エス代表取締役を退任。現在はアイ・エス・エス グループのオーナー。技術士(建設部門)。主な著書に『建設技術者が危ない』(日刊建設通信新聞社)など。
(写真:陶山 勉、以下同)

中村:行政も建設業界も、インフラを新しく造ることばかりに目が向いて、既設のインフラの維持・補修は重視してきませんでした。損傷が激しくなった部分が見つかれば、その都度補修をするという、場当たり的な対応に終始してきたことは否めないでしょう。

 補修対象となるインフラが少ない時はそうした対応でも問題ありませんでしたが、今後、高度成長期に大量に建設された構造物が一気に老朽化するとなると、そのような一時しのぎの対策では立ちゆきません。

 しかし、先進国はどこも税収不足で、維持・補修に投じるお金がありません。そこで必要になるのが、いかに民間資金を取り入れるかという発想です。投資対効果を考えた、戦略的・効率的なマネジメントが求められるのです。

 実は、インフラへの民間資金の投入は、「老朽化先進国」である欧米では珍しいことではありません。

 英国では、1998年に労働党のトニー・ブレア政権が「総合交通政策白書」を発表し、大きな政策転換を実行しました。高速道路や国道などの新規建設をストップし、鉄道やバスなどの既存の公共交通を改善して輸送量を増やすことで、渋滞の解消と環境汚染の防止を目指したのです。

 この中で活用されたのが、「PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)」。つまり「官民連携」と呼ばれる手法でした。地下鉄や道路など、老朽化した既設インフラの維持管理と補修を民間企業に委ねることによって、民間のノウハウを活用しようというものです。

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「笹子トンネル事故で浮き彫りになった大量老朽化にどう対処する?」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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