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雌伏5年、身につけた現実主義

ドキュメント・安倍晋三政権発足

2013年1月9日(水)

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政権奪還を果たし、再びこの国の舵取りを担う安倍晋三首相。体調不良を理由とする突然の辞任から5年余り。政界の常識を覆す復活劇だ。保守勢力の旗頭が挫折を糧にリアリズムを身にまとい、捲土重来を期す。

 「ようやく、ここまで来たね。長いようで、早かったね」

 2012年9月。自民党総裁選で勝利し、次期首相へ返り咲く公算が大きくなった後、安倍晋三氏は親しい関係者にこう語りかけた。

 1948年の吉田茂・元首相以来となる首相再登板を果たした安倍氏。「一寸先は闇」が常の永田町といえども、半年前にこの展開を予想した議員は少なかったはずだ。何しろ安倍氏自身も「出番はまだ先」と見ていたのだから。

「政権投げ出し」でどん底へ

 安倍首相は2006年9月、小泉純一郎・元首相の後を受け、52歳で初の戦後生まれの宰相となった。就任直後に中国、韓国を電撃訪問し関係を改善。「戦後レジームからの脱却」を旗頭に、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の制定や教育基本法の改正、防衛庁の省昇格など保守色の濃い政策を実現した。

 だが、閣僚の相次ぐスキャンダルや首相官邸内の不協和音などから求心力が急降下。親しい議員を中心とする政府・与党の布陣は「お友達内閣」と批判された。2007年の参院選で自民が歴史的惨敗を喫してからほどなく、持病の潰瘍性大腸炎の悪化などを理由に突然辞任を表明した。

 安倍首相に批判的な自民のベテラン議員は「自民が下野するに至った戦犯の1人」と今なお厳しい評価を下す。

 首相在任の1年の間に、政治家としての絶頂から谷底に転げ落ち、「一時は引退も覚悟した」と言う安倍氏。それから5年余りで再び宰相の座へと駆け上がってきた背景には、批判の矢面に立ち続ける覚悟と、政治情勢をにらんだ戦略があった。

 首相辞任後、失意の安倍氏が真っ先に取り組んだのが地元・山口県の支持者へのお詫び行脚。体調回復後、「前首相」として初めて地元入りした安倍氏に、駆けつけた支持者は口々に「もう一度頑張ってほしい」と励ました。

 奮起した安倍氏は戸別訪問や300回以上のミニ集会をこなし、短命政権に終わった謝罪と、景気回復や憲法改正などやり残した“宿題”の実現を目指す決意を説いて回った。罵声を浴びせられることもあったが、「すべてを真正面から受け止めることが始まりだと自らに言い聞かせた」と安倍氏は振り返る。

 2009年8月末の衆院選では、全自民候補の中でトップクラスの得票率で圧勝。再起への足がかりをつかむや、全国の落選候補などの集会に弁士として積極的に出向いては「有為な仲間を落選させ、自民党を大敗させた責任は私にある」と頭を下げ続けた。

 「背負った“十字架”の重さを自覚し、現場に足を運び続けた。逃げずにその姿勢を示したことが安倍さんの失地回復の一歩となった」。安倍氏に近い自民議員はこう語る。

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「雌伏5年、身につけた現実主義」の著者

安藤 毅

安藤 毅(あんどう・たけし)

日経ビジネス編集委員

日本経済新聞社で経済部、政治部などを経て2010年4月から日経ビジネス記者。2012年4月から現職。政治、経済政策を中心に執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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