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日興コーディアル証券のインサイダー疑惑、仕切り直しへ

検察の「ストーリー」、取り調べ可視化でゆらぐ?

2013年2月7日(木)

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 野村証券のインサイダー事件発覚直前の昨年5月、日興コーディアル証券の執行役員吉岡宏芳氏が、インサイダー取引容疑で逮捕された事件をご記憶だろうか。「横浜の金融業者・金次成氏が、吉岡氏から上場会社のTOBに関する公表前の内部情報を得て、3つの銘柄で約3600万円の利益を得ていた」とされた。

 逮捕者は吉岡氏、金氏、金氏の子息、金氏の株取引の名義貸し人,それに吉岡氏に金氏を紹介したブローカーA氏の合計5名に上ったが、起訴に到ったのは吉岡氏と金氏の2名のみ。吉岡氏は容疑を全面否認、金氏は全面的に認めた。

 吉岡氏と金氏は別々の事件として審理され、吉岡氏の事件は未だ公判前整理手続き中だが、金氏の事件は昨年12月18日に被告人質問も終了。検察側が懲役3年、罰金300万円、追徴金1億円を求刑し、弁護側は主導したのは吉岡氏であることを理由に執行猶予付きの判決を求めて結審。判決が1月31日に言い渡されるはずだった。

 ところが、その判決公判の冒頭、横浜地裁の朝山芳史裁判長は「現在の訴因のままでは(金被告を)有罪認定できない」として、検察側に訴因を変更するよう勧告して判決言い渡しを延期。弁論が再開されるという異例の展開となった。

 検察側は吉岡氏、金氏の両名を金融商品取引法167条1項4号違反で起訴しているが、朝山裁判長は「それでは金被告の有罪判決は書けない、だが167条3項違反でなら有罪判決を書ける可能性がある、訴因を変更するかどうか検討せよ」と言ったのである。そして、次回期日は2月13日と指定された。

 167条1項は、公開買い付けの内部者が自ら未公表情報をもとに株取引を行い、利益を得ることを禁止した条項であるのに対し、3項は公開買付の内部者から情報を得た者、つまり一次情報取得者が利益を得ることを禁止した条項であり、この条項では単に情報を提供しただけで自ら利益を得ていない内部者は処罰できない。

 従って、訴因が変更されれば「利益を得ていない吉岡氏は無罪となる可能性は極めて高くなるし、金氏も公開買付情報の提供者が内部者ではないのなら2次情報取得者となり、無罪となる可能性が出てくる」(吉岡氏の弁護人佐藤博史弁護士)のである。

TOB情報は宝の山

 今回検察側が起訴対象にした公開買付(以下、TOB)案件は全部で3件。1件目は日産自動車向けの自動車部品輸送を主力にしていた東証1部上場のバンテック。日立物流が連結子会社化することを目的に2011年3月10日から4月19日までTOBを実施し、9割の議決権を獲得。その後居残った株主に日立物流が自社の株を渡す株式交換で完全子会社化したため、バンテックは2012年3月に上場廃止になっている。

 2件目はテレビ受信機器大手で東証1部上場のマスプロ電工。創業者によるMBOである。TOBは2011年8月1日から9月12日まで実施され、同年12月16日に上場廃止になっている。

 3件目は女性向け生活雑貨ショップ「フランフラン」の経営会社で東証1部上場のバルス。こちらも創業者によるMBOで、TOBは2011年9月5日から2011年10月19日まで。上場廃止は2012年1月17日である。

 金氏が吉岡氏からの情報を元に利益を得たと検察側が認識している銘柄は他にも多数あるが、起訴対象になったのはこの3件である。

 死に体の上場会社が上場廃止基準に抵触して市場から退出させられるのではなく、元気な上場会社が株主から株式を買い取って自発的に上場を止める非公開化は、2006年施行の会社法によって、その手続きが大幅に簡素化された。

 一人の株主が議決権の3分の2以上を握ったら、その大株主は残る3分の1の少数株主の保有株を、本人の同意がなくても、金銭を支払うことで強制買い取り出来るようになった。

 非公開化するだけなら何も少数株主全員から株を強制買い取りして追い出す必要はないのだが、一人の株主が100%支配しておくと、その会社が上げる利益を独占できたり、売却が簡単になるといったメリットがある。こうした、上場廃止プラス株主全員の追い出しを狙う「スクイーズアウト」という手法は、追い出す側にとっては株価が安い時期のほうが安く追い出せるので、リーマンショック以降爆発的に増えた。

 容疑の対象になった3銘柄のうち、マスプロ電工とバルスがスクイーズアウトを使っているが、バンテックの株主は株を強制買い取りされてしまう対価として金銭ではなく日立物流の株をもらっている。

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