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事前積立入は大規模な法令改正なしで導入できる

「賦課方式vs積立方式」論争の誤解を正す(3)

2013年2月7日(木)

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 昨年末に政権が交代し、2%インフレ目標などを掲げるアベノミクスに内外の関心が高まっている。日本はかつて2%超のインフレを実現したことはある。例えば1997年には消費増税の影響で、2008年には原油価格の上昇などで、インフレが起こった。だが、2%という値はバブル期の平均(1.17%)よりも高い(図表1)。

図表1: インフレ率の推移(単位:%)
(出所)総務省。インフレ率はCPI(コア:生鮮食品を除いた消費者物価指数)の前年同月比を採用した

 このため、2%のインフレを継続的に実現するのは不可能に近い。現状は、円安・株高の動きもあり、アベノミクスに対する「期待」が高まっている状況にすぎない。

 もっとも、前回のコラムで明らかにしたように、継続的な2%インフレが実現しても、社会保障費を抑制しない限り、財政安定化に必要な最終的な消費税率は25%を超えてしまう。また、社会保障改革が遅れれば遅れるほど、財政赤字は増加し、公的債務(対GDP)は膨張していく。その結果、財政安定化に必要な増税や歳出削減(特に社会保障費の削減)の幅は拡大し、若い世代や将来世代が背負う改革の痛みは大きくなってしまう。

 残念ながら増税や歳出削減を回避する奇策はない。この現実を直視することは極めて重要だ。財政・社会保障の持続可能性を高めつつ、世代間格差の改善を図るためには、抜本的な社会保障改革が不可欠である。

現行制度下で「事前積立」は導入可能

 その際、「事前積立」を導入すれば、現行の枠組みの下でも実質的に積立方式に移行可能でき、世代間格差を是正できるという事実は重要である。

 「事前積立」の仕組みの概要は次のとおりである(図表2)。給付水準を維持する場合、高齢化が進展する現状では、現役世代の負担は上昇していく。このため、あらかじめ負担を若干引き上げて、後の負担分を積み立てる(=事前積立)。長期的には、それを取り崩すことで、負担を平準化し、世代間格差を縮小させる。この事前積立の仕組みは、厚労省がかつて試みていた「保険料平準化方式」と実質的に同じである(詳細は「「賦課方式vs積立方式」論争の誤解を正す」と「「賦課方式vs積立方式」論争の誤解を正す(2)」で説明した)。

図表2:事前積立と保険料平準化のイメージ
(出所)小黒『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアシリーズ)から転載

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「事前積立入は大規模な法令改正なしで導入できる」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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