• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「習近平はババを引く?」

現代中国研究家、津上俊哉氏が展望する中国経済

2013年2月8日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 中国国家統計局が1月に発表した2012年の実質国内総生産(GDP)は成長率が7.8%だった。政府が目標としていた7.5%を上回り、「2013年に8%程度の成長は達成できる」との明るい見方が中国内外で支配的だ。2012年10~12月期の伸び率が8四半期ぶりに前期を上回ったことも楽観論を後押ししている。

 しかし、中国が抱えている課題はどれも深刻なものばかりで、中長期的に見れば中国経済の先行きは厳しいと言わざるを得ない。世界経済の牽引役を務めてきた中国の今後について、津上俊哉氏(現代中国研究家)に聞いた。(聞き手は坂田亮太郎)

世界の先進国に先駆けて、中国が2012年の成長率を発表しました。

津上:数値が正しいのであれば、大変素晴らしい結果と言えるでしょうね。ただ、中国の公式統計は本当に信用できるのかという話が昔からあります。今年3月に首相に就任予定の李克強氏はかつて「経済評価で注目するのは、電力消費、鉄道貨物量、そして銀行融資の3データだけ。GDPは“人為的”なので、参考用にしかならない」と語ったとされるほどです。

 2012年の7.8%成長の半分は、36兆元(約540兆円、1元=15円で換算)に上る固定資産投資が生み出したと言われています。過去4年分を合算すると、固定資産投資は100兆元を超えます。銀行貸出総額が64兆元で、その4割は短期貸付なのに、どうやって100兆元もの資金をファイナンスしたのでしょうか。そのための銀行借り入れが2~3年で全部償還できるというなら別ですが。

 中国では各地方自治体のトップが厳しい出世競争を繰り広げているので、自らの出世のために成長率を“お化粧”するケースがよくあると言われています。そのような数値をいくら積み上げたところで、信用に足るデータになり得るのかと疑問に思うのは自然なことでしょう。中国経済は、実体的には依然として厳しい不況下にあると私は思っています。

津上俊哉(つがみ・としや)氏
津上俊哉(つがみ・としや)氏
1980年東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。通商政策局公正貿易推進室長などを経て、1996年から北京の日本大使館に経済部参事官として赴任。2000年に帰国後、通商政策局北東アジア課長、経済産業研究所上席研究員などを経て退官。2004年に中国と日本にエクイティ投資を行う東亜キャピタルの社長に就任。2012年に津上工作室を立ち上げ代表に。著書に「岐路に立つ中国―超大国を待つ7つの壁」(日本経済新聞出版社)、「中国台頭―日本は何をなすべきか」(日本経済新聞社)などがある。1月に「中国台頭の終焉」 (日経プレミアシリーズ)を上梓した。

 とは言え、外国人である我々が中国経済の状況を把握するためには中国政府が公表する統計数値に頼るしかありません。玉石混淆のデータの中で最近私が注目したのは、2010年に10年ぶりに中国で実施された大規模な人口調査「人口センサス」(以下「2010センサス」と呼ぶ)です。

 2010センサスでは、中国の出生率がこれまでの予想(1.8)を大きく下回る1.18にまで低下していることが明らかになりました。また、中国国家統計局は最近、労働力の中核を担う15~64歳までの生産年齢人口が2012年に史上初めて減少したと発表しました。

労働力の減少がもたらすインパクトは「日経ビジネス」2013年1月7日号にも寄稿していただきました。

津上:食糧に事欠くほど貧しかった1970年代当時の中国にとって、人口を抑制するために「計画生育政策(いわゆる一人っ子政策)」を導入することは必然だったと言えるでしょう。しかし導入から30年以上が経過し、中国の国内も中国を取り巻く環境も大きく変貌を遂げました。

都市に移住しても差別される農民戸籍者

 今は、急速な少子化によって労働者の数が減り、その結果、賃金の上昇スピードがこれまで以上に加速すると懸念されています。このままでは高い経済成長を維持するのは極めて難しい。必要な政策をきちんと打てなければ、潜在的な成長率である5%程度の成長さえ危うい状況です。

 経済の専門家の中には「労働者の数が減ると言っても、その減少数は全体の労働者数から見ればわずかなのだから、成長が止まるなんて大げさだ」と指摘する方がいらっしゃいます。私は「中国の成長がすぐに止まる」と言った覚えはないのですが。人口減少の影響が2020年以降に強烈に出てくると見ています。

コメント10

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

「「習近平はババを引く?」」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

もっと事業を効率化して、料金を下げて、消費者に貢献しないと業界はだめになってしまう。

和田 眞治 日本瓦斯(ニチガス)社長