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電気自動車の「ガス欠」を何と呼ぶ?

新技術の理解には「比喩」が役立つ

2013年2月26日(火)

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 筆者は、子供のころ「とある疑問」を抱いたことを覚えています。「自動車が電気で動くようになると、ガソリンスタンドがどう呼ばれるようになるのだろうか?」と。自分自身でも「なぜそんな疑問を抱いたのか」経緯はよく覚えていません。おそらく未来の科学技術を紹介する書籍かテレビ番組で、電気自動車のことを初めて知った時の話なのでしょう。

 そして当時の筆者が、子供なりに捻り出した結論は「電気スタンド」という呼称でした。しかしながらこの呼称はどうにも不都合です。机の上に置いて使う照明器具と同じ呼称になってしまうからです。

 さて電気自動車の普及前夜とも言える今日、電気を供給するための拠点施設のことを「充電スタンド」と呼ぶことが多いようです。このように電気自動車の登場は、それまでの自動車文化には存在しなかった言葉を幾つか生み出しました。

 そこで今回の「社会を映し出すコトバたち」は、電気自動車の普及に伴い存在感を増しつつある言葉を紹介します。取り上げる言葉は「電欠(でんけつ)」「電費(でんぴ)」といったキーワード。技術寄りの専門用語ではなく、日常生活で登場する言葉を取り上げます。そして紹介した言葉たちの「共通項」についても分析します。

電欠~ガス欠からの連想で登場~

 自動車で燃料を使いきってしまうことを、俗に「ガス欠」と言います。ここで言うガス(gas)はガソリンのこと。米語の俗語でガソリンのことをgasと呼ぶことに由来する表現です。○○欠(けつ)という造語法は、おそらく酸欠や金欠あたりの応用でしょう。

 ではガソリンではなく電気(充電)が切れてしまう場合は、どう表現すればよいのでしょうか。実は最近、電気自動車の利用者やメディアなどが「電欠」という言葉を使うようになりました。

 表現のアイデアは以前から存在したようです。電欠という言葉を掲載した最も古い新聞記事は、1993年3月17日付けの毎日新聞でした(ビジネスワールド 注目集める『電動ゴルフカート』環境保護の一番手に)。今から20年前の記事です。記事の要旨は「米国内の保養都市が、都市内移動の手段として電動ゴルフカーの利用を解禁した」というものでした。

 電欠が登場する部分を引用しましょう。「ガス欠ならぬ電欠に備え、市内のショッピングセンター2カ所はカート駐車場に電源設備を計画している」。この文章から、電欠という表現がガス欠からの連想であることを知ることができます。

 もっとも電欠の使用頻度が増えたのは近年になってからのことです。以下のグラフに、新聞記事における「電欠」の登場記事数の推移を示しました。調査対象としたのは1993年以降の朝日・読売・毎日・産経の4紙。見出し・本文のいずれかに電欠が登場した記事数をカウントしています。グラフから、2010年と2011年に記事数が増加していることがお分かりいただけるでしょう。

 果たして、電欠という表現は定着するのでしょうか? 筆者は「予断を許さない状況が続くのでは」と考えています。電欠と同じ状況を表す、代わりの表現方法が存在するからです。例えば携帯電話と同じように「充電切れ」と表現することも可能ですし、「バッテリー切れ」という表現が定着する可能性もあります(注:エンジン車における「バッテリー上がり」と混乱する可能性はある)。どの表現が定着していくのか、私たちはその過渡期を目撃しているところなのです。

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「電気自動車の「ガス欠」を何と呼ぶ?」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官