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「ラジアーモデル」で説明する65歳定年制の効果

生産性と賃金カーブの乖離が「定年」を必要とする

2013年3月7日(木)

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 今年4月から「改正高年齢者等雇用安定法」が施行され、実質的な「65歳定年制」が義務付けられる。この背景には、年金の支給開始年齢引き上げがある。すなわち「急速な高齢化の進行に対応し、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備」が改正の目的である。

 周知のとおり、かつての年金(特別支給の老齢厚生年金)の支給開始年齢は60歳であった。このうち、定額部分の支給開始年齢は今年4月に、65歳まで引き上げる措置が完了する。1994年の年金改正に基づき、2001年4月から、生年月日と男女別(女子は男子より5年遅れ)に引き上げられてきた。

 そして、今年4月からは、報酬比例部分の支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げる措置がスタートする。これは2000年の年金改正に基づく措置だ。生年月日と男女別(女子は男子より5年遅れ)に、2025年4月まで12年かけて移行する。

給与も年金ももらえない恐れ

 これらの措置の結果、現在の60歳定年制のままでは、今年4月から、継続雇用を希望しても、何らかの事情で雇用が継続されない者は、「年金も給与ももらえない空白期間」が生じる可能性があった。このような「空白期間」を回避するため、2012年、高年齢者等雇用安定法が改正されたのである。

 なお厳密には、この高年齢者等雇用安定法の改正で、一律にすべての企業に65歳への定年引き上げが義務付けられるわけではない。というのは、企業には、(1)定年の引き上げ*1、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年廃止という3つのオプションがある。今回の改正ポイントは(2)に許されている「例外規定」(=抜け穴)の廃止にある。

*1:今回の改正前の改正(高年齢者等雇用安定法の2004年改正)では、定年を引き上げる場合、65歳(※)以上とするか、もしくは65歳(※)まで働くことを可能にする継続雇用制度の導入が義務付けられた(注:厳密には、「※」は2006年4月から2007年3月までの間は「62歳」であった。それは段階的に引き上げ、2013年4月以降は「65歳」に移行することが決まっていた)。

 このような定年延長や継続雇用は企業コストの急増を招くとの懸念が強かった。このため、2004年の改正では、継続雇用制度の対象者を労使協定で限定できる「例外規定」(=抜け穴)を盛り込んでいた。2012年の改正で、この例外規定を廃止し、今年4月から、継続雇用の対象者が希望すれば再雇用しなければならないことを企業側に義務付けたのである(注:この他、改正法は、本社を退職した者をグループ企業で再雇用するケースも継続雇用と認めることや、義務に違反した企業の名称を公表する規定などを定めている)。すなわち、実質的な「65歳定年制」のスタートである。

 もっとも、企業コストの急増を緩和する観点から、改正法は「激変緩和措置」も規定している。現在、継続雇用の例外規定を設けている企業は、報酬比例部分の年金を受給できる年齢に到達した高齢者に対して、従来の例外規定を継続して適用できる。

定年延長は若年雇用の抑制につながりかねない

 だが、このような激変緩和措置を導入しても、報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げスケジュールと連動して、企業コストが増加していくことは明らかである。このため、実質的な「65歳定年制」を義務付ける改正高年齢者等雇用安定法は、給与水準の見直しや若年雇用の抑制をもたらすとの懸念が出始めている。

 例えば、労務行政研究所が公表した「改正高年齢者雇用安定法への企業の対応アンケート」では、これから継続雇用の対象となる高年齢者が増加した時、新卒を含む若手や中堅層の採用を抑制するかとの問いに対するアンケート結果を紹介している(以下の図表1)。

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「「ラジアーモデル」で説明する65歳定年制の効果」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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